Photo by Yoshihisa Wada

1980年にエイチ・アイ・エスの前身であるインターナショナルツアーズを創業、その後96年にスカイマークエアラインズ(現スカイマーク)を設立し、2010年からはハウステンボス再建を手掛けた澤田秀雄氏。起業家として、再生請負人として、経営の現場で経験してきた数々の「失敗」と「再生」について語る。

「企業家」であり「再建屋」の経営人生

 昔から本当に旅が好きだ。できるならば今すぐにでも社長業を誰かに譲り、旅を再開したいと思っている。これまでに世界各国を訪ねたが、未知の場所、再訪して思いを新たにしたい場所など、好奇心と興味が薄れることはない。

 旅好きのバックパッカーであった私が始めた格安航空券の販売店は、今や国内第2位の旅行取扱高を誇れる旅行会社になった。現在エイチ・アイ・エス(以下H.I.S.)は、107の子会社と14の関連会社を持つグループに育った。

 若い頃は「アントレプレナー(起業家)」の代表のように注目していただいたこともあったが、実を言えば失敗の連続で、泥臭く失敗を乗り越えてきたにすぎない。だから会社が大きくなっても、自分自身では「企業家」であり「再生屋」「再建屋」といった感覚の方が強い。

 同時に、よほどでない限り会社は必ず再建できると確信できるようになった。ドラスチックな手などなく、大切だと思うことを一つひとつ積み重ねるだけだが、それで会社はどんどん変わっていくものだ。今月は、そんな失敗と再生の物語を述べようと思っている。

 子どもの頃から冒険好き、旅好き。「とにかく広い世界を見てみたい」という思いが高じ、高校時代にアルバイトで貯めた資金で、大学はドイツへ留学した。留学中はドイツを起点に、ヨーロッパや中東、アフリカ、南米など旅して回った。

 1980年にドイツから帰国すると、資本金1000万円で格安航空券の販売会社「インターナショナルツアーズ」を設立した。これが現在のH.I.S.だ。留学時代には、ドイツ出張にやって来る日本人ビジネスマン向けに仕事後に夜のドイツを楽しんでもらう「ナイトツアー」を企画し、これが結構な儲けとなった。その資金を、オイルショックで暴落したフォルクス・ワーゲン(VW)の株につぎ込み、反騰したところで売り抜けて得た売却益が元手だった。

 新宿のマンションの1室に机2つと電話が1本だけの出発だった。バックパッカーとして世界中をまわった私は「格安航空券」という存在をよく知っていたが、当時の日本ではまだほとんど知られていなかったので、開業から半年でもお客さまは1人か2人。お客さまに「帰国したら話を聞かせてよ」と最新の現地情報を集め、同時に「よかったら旅好きに口コミで広めてくださいね」と頼んでいた。

 本当は、旅行は趣味と割り切っていたので、それを仕事にはしたくなかった。