『アルフレッド・アドラー 一瞬で自分が変わる100の言葉』が8月30日にダイヤモンド社から発売されたことを記念して、20万部突破の第一弾『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉』を特別公開します。アドラーの厳しくもあたたかい言葉に、あなたも勇気づけられてください。

感情は「排泄物」である

なぜ「怒りをコントロール」することは無駄なのか?

 私たちは日々、怒りや悲しみなどの感情に支配されているように感じています。そのため、「怒りをコントロールする方法」などの書籍が注目を集めています。しかし、アドラーは感情をコントロールすることを否定しています。アドラーによれば感情はライフスタイル(=性格)による「排泄物」でしかありません。その排泄物を操作しても結果は何も変わらない。ライフスタイルを変えることで、おのずと感情も変わると言ったのです。

 ライフスタイルとは、ものごとの捉え方・認知の中核を為す基本的信念です。私たちは、相手の言動や世の中のできごとという刺激(Stimulus)にダイレクトに反応(Response)するのではありません。その間にその人なりの捉え方、すなわち認知(Cognition)があるのです。たとえば、廊下を歩いていた異性が「クスッ」と笑ったのを見て、「バカにされた」と認知し「怒り」という感情を感じる人もいれば、「自分を好きに違いない」と認知し「喜び」という感情を感じる人もいる。

 その際に「怒り」という「感情」を操作することはできません。そうではなく、その「感情」を生み出した「認知」を修正するのです。「バカにされた」という認知の根底には「自分は人に好かれるはずがない」という自己否定的なライフスタイルが隠されていることでしょう。それこそが正すべき対象です。「怒り」そのものを操作しても意味がないのです。

なぜ「怒りをコントロール」することは無駄なのか?アルフレッド・アドラー Alfred Adler(1870年-1937年)
オーストリア出身の精神科医、心理学者、社会理論家。フロイト、ユングと並んで現代のパーソナリティ理論や心理療法を確立した1人。個人心理学(アドラー心理学)を創始し、『7つの習慣』のコヴィー博士、カーネギーらに影響を与えた。「自己啓発」の源流である。

※本連載は日曜日以外の毎日更新します。