──三つ目のデジタル化については、店舗についても次世代化が進んでいますが、成果はいかがでしょう。

 店舗改革については、店舗という“器”を変える前に、サービスの利便性と事務プロセスの効率化という中身の部分が重要だと考えています。

 銀行の窓口に来た顧客に対して、スマートフォンのサービスやATMの利便性を理解してもらう。それと同時に、事務作業を全国に10カ所ほどある事務センターで集約させる。これらが結果的に窓口での事務作業を減少させて、事務スペースの代わりに資産運用などの相談スペースを増やすことができます。

 その結果として、次世代型店舗のフラッグシップとしてリニューアルした銀座支店は、来店する顧客が倍増しています。

 全ての店舗を次世代化することで顧客の満足度と事務の効率化がウィン-ウィンになるよう、徹底的にこだわっていくつもりです。

――今年4月から、リテール部門や法人部門といった、銀行や証券などそれぞれの子会社にある事業部門を一体管理する「事業部門制」を導入しています。変化はありますか。

 以前から、グループ内の連携を大事な目標として掲げています。例えば昨年秋に、グループ内の銀行、証券、カードの利用明細を、スマートフォンのアプリケーションでまとめて見られるようになりました。

 このアプリは一種の革命的なものだと思っています。というのも、銀行、証券、カードが持つそれぞれのシステムを統合することは技術的に大変なことだからです。これを顧客目線で実現できたのも、新しくアプリという技術が登場したからこそです。

 事業部門制を導入したことで、こうしたものを一緒に作ろうという意識がより強まっています。また、念頭にあるのは、グループ内のサービスを一体化して、顧客に利便性を感じてもらうことです。

 一つひとつの取り組みは目立たないものかもしれませんが、現在のテクノロジーを活用して、こうした連携をグループ内に急速に積み上げていく。ここに、企業努力の差が出てくるでしょう。

おおにし・ゆきひこ/1959年生まれ。東京大学法学部卒業後、83年旧住友銀行入行。2015年三井住友銀行取締役兼専務執行役員。今年6月より現職。