プロ野球の各球団はそれぞれ、特定のメーカーとユニホームの提供(もしくは独占購入)契約を結んでいる。これまでは国内メーカー中心だったが、2017年の各球団契約メーカーを見ると、日本人には馴染みのないある企業が12球団中5球団を占めている。米メジャーリーグ(MLB)30球団のユニホームを手がけている米マジェスティックだ。国内プロ野球のユニホーム勢力図に大異変を起こしている同社の日本法人、マジェスティック ジャパンの小田部聡哉代表がインタビューに応じた。『週刊ダイヤモンド』10月7日号の第2特集「野球用品業界の崖っぷち」の拡大版としてお届けする。(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 野村聖子、本文中の球団名は、すべて通称、敬称略)

プロ野球5球団のユニホーム契約を日本企業から奪った「黒船」の正体小田部聡哉(おたべ・としや)/マジェスティック ジャパン代表、ブランド・ディレクター。1971年生まれ。約20年アパレル業界で、主にMD(マーチャンダイザー)として従事。2010年、マジェスティック ジャパン入社。13年ブランド・ディレクター(代表)に就任。Photo by Makoto Miyata

――14年に楽天と契約して以来、わずか3年で5球団のユニホームを手がけるほどになりました。この勢いからして、相当の投資をされていると想像します。自社の宣伝が目的ですか。

 他メーカーの場合、球団ユニホームへの投資は自社の広告宣伝費であり、アマチュア向け用品の販売促進を狙ったものだと思いますが、当社は自社ブランドの野球用品をほとんど販売していません。

 極端なことを言えば、われわれのブランドが前面に出る必要はないのです。

――では、何のためにユニホーム契約の獲得を進めているのですか。

 当社の主たる事業である「ライセンススポーツビジネス」の獲得です。ライセンススポーツビジネスとは、スポーツチームにユニホームを提供するかわりに、チームからライセンスを取得し、レプリカ(複製)ユニホームやチームの公式グッズなどを企画・製造・販売するという事業です。