1989年から30年近く「築地市場」の研究を続けているテオドル・ベスター教授。築地では知らない人がいないほどの有名人だ。経済学、社会人類学、都市社会学など多彩な視点から築地市場を見つめた著書「築地」は、築地のみならず、日本という国を理解する上で格好の書となっている。ベスター教授は、豊洲移転問題で揺れる築地市場をどう見ているのだろうか。話題の新刊「ハーバード日本史教室」からお送りする。(2017年4月19日、ハーバード大学ライシャワー日本研究所にてインタビュー)

ライシャワー日本研究所が果たす役割

佐藤 現在、ハーバード大学・大学院で日本について専門的に学ぶ授業はいくつ開講されているのでしょうか。

テオドル・ベスター教授

ベスター すべての授業が毎年開講されているわけではないので、正確な数字を出すのは難しいですが、日本についての授業は全部で150ほどあり、そのうち開講されているのは年間50~60だと思います。

佐藤 エドウィン・O・ライシャワー日本研究所が設立されたのは1973年ですが、当時と比べると、同研究所の所属教員数や研究内容はどのように変わってきたのでしょうか。

ベスター 設立時、教員は10人しかいませんでしたが、現在は35人の教員が所属しています。また研究分野も増えてきていて、1970年代は歴史と文学だけだったのが、現在は、芸術、文化人類学、社会学、建築学、法律、公衆衛生学など、多岐に渡っています。

 学生が興味を持つ分野も変わってきています。当時はマンガやアニメについて学びたいという学生はいなかったと思いますが、現在では、日本のマンガ、アニメ、ファッションについて教える授業が人気を集めています。今の学生に「なぜ日本について学びたいと思ったか」と質問すれば、おそらく多くの学生が「マンガとアニメをきっかけに日本に興味を持った」と答えるでしょうね。彼らは、1990年代、ポケットモンスターや美少女戦士セーラームーンがアメリカを席巻した時代に生まれ育っているからです。