MOA METALとYUI METALのダンスの切れ味はいい。あきれるほどすさまじい運動量でライブの最初から最後まで1時間半を一気に駆け抜ける。見ているほうが手に汗を握り、へとへとになるほどだ。

 ダンスだけでも一級品だが、やはり特筆すべきはSU-METALのボーカルだろう。もともとヘビーメタルは、汗まみれで刺青まみれのむさくるしい男どもの音楽である。BABYMETALでも、ギターの音域を低いほうへうんと下げた7弦ギターを導入し、重低音を効かせている。

 こうしたヘビーで男っぽい音楽に少女の声を乗せるというアイデアが秀逸だったわけだ。もちろん、ヘビーメタルとベビーメタルのシャレも効いている。しかも、SU-METALのハイノート(高音)は女性ロックシンガーのシャウトとは違う。じつに素直な声の出し方で、ほとんどビブラートをかけない。激しいビブラートでハイノートをシャウトする歌い方がロックでは多いが、SU-METALはノン・ビブラートで、小節線ぴったりにインテンポで音を入れてくる唱法である。これが実に心地よい。

SU-METALの武器は
オンリーワンの歌唱法

 彼女の魅力は声量の大きさと音域の広さにもある。ロックは地声でハイノートを出せば出すほど聴衆を興奮させる。これが他のジャンルと違うところだ。

 ハイノートの音域の広さならクラシックの声楽家にはかなわない。クラシックのソプラノではhihiD(D6)までは普通に必要とされる。ただし、クラシックではすべて裏声(頭声)だ。

 一般的に言って、多くの女性はhiC(C5、ド)あたりから裏声に変わる(喚声点という)。hiD(D5、レ)を地声で出せる女性歌手はそれほど多くはない。SU-METALは完全な地声(胸声)でhiDを楽に出す。当てるだけでなく、フォルテで伸ばす。これはすごい。圧倒的な存在感を与える。かわいらしいソプラノボイスではなく、胸に突き刺さるフォルテになる。声量に余裕があるので、癇に障る悲鳴ではなく、音を伸ばすだけで表現力豊かな音楽として聴こえる。