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China Report 中国は今

自分で歩けなくなったらそれまでさ――
“たくましく老いる”上海の高齢者事情

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第86回】 2011年10月21日
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日本以上の速度で
高齢化が進む中国社会

 2050年には 60歳以上の高齢者が人口の3割を占めると言われ、日本をしのぐスピードで高齢化が進む中国。上海でも、2010年末には上海戸籍を持つ人口1412万人に対して、60歳以上の老人が前年比15万人増の331万人を占めるようになった。いよいよ本格的な高齢化社会に突入しようとしている。

筆者が訪ねた、上海で中級クラスの敬老院(老人ホーム)。中の造りは「病院」そのもの
Photo by Konatsu Himeda

 さて、その上海で市民はどのように「老い」を迎えているのか。筆者は、上海で証券会社に勤務する山西省出身の劉さん(仮名)とともに、高齢者をケアする「敬老院(老人ホームに相当)」を訪れた。

 劉さんは、重度の糖尿病を患っている60歳を過ぎたばかりの母親を、上海に引き取りたいと考えている。しかし、日中はそばにいることができないので、上海の老人ホームに入れることを検討しているのだ。

 劉さんと筆者は、上海市内にある中級クラスの老人ホームの門をくぐった。複数階の建物に直線的な廊下、向かい合わせに小部屋を作り、ベッドを置くという造りは、むしろ上海の病院そのものだ。見た目に異なるのは、着ている衣服がパジャマではないことだ。

 「母親を入れたいと思っているんですが…」と打診する劉さんに、事務局の担当者は「上海に持ち家はあるんですか?」と間髪入れずに聞き返してきた。まずは持ち家があること、身寄りがあることが必須条件のようだ。

 「職業は何?」とも聞かれた。「証券会社」という劉さんの答えには満足したかのようだったが、母親は60歳を過ぎたばかりであることを伝えると、「それならまだ早い、ここは80歳過ぎの老人が大多数だから。70歳後半でも入るのは早いほうですよ」との説明が。さらに、彼が外省の出身だとわかると、「上海戸籍でないとダメでして…」という答えで、話は打ち切られた。

 しかし、彼らの対応は決して悪いものではなく、「せっかくだから自由に見学してください」と声をかけられた。「自由に見学してください」とは、よほど自信がないと言えないセリフだ。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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