世界経済の先行きは、再び曇りのち雨のような動きとなっている。ヨーロッパでは、フランスとベルギーに拠点を置く金融大手の「デクシア」が事実上、経営破綻した。
ギリシャの財政危機から始まったユーロ危機は、一向に収束する気配を見せず、世界の主要通貨としてのユーロは、危機的な局面から脱出できていない。EU(欧州連合)は少なくとも25の銀行が資本の増強を必要としている、と戦々恐々だ。
EUは世界経済を脅かす新しい発火点となりかねないほど、危機的な状態に陥っている。
一方、リーマンショック以来、世界経済を苦しめてきた米国では、ニューヨーク・ウォール街の占拠を呼びかけた大衆の抗議デモが16日で30日目に突入し、全米各地で逮捕者が多数出たばかりでなく、その抗議の炎が世界の多くの都市まで飛び火し、IT技術の発達に支えられるグローバル時代の社会問題として、世界中の人々の注目を浴びている。
賑わいを失った
中国輸出入商品交易会
こういった動きは中国経済にも色濃くその影を落としている。10月16日付香港の新聞「明報」から送られたニュース速報を見ると、その影が見事に映されているような気がした。ここで今回のコラムは、その速報に出ている、中国経済に関連する3つの記事を拾ってみることにした。
現在ちょうど広東省の省都広州市で、中国輸出入商品交易会が開催されている。長い歴史をもつ中国輸出入商品交易会は中国最大の貿易見本市で、「広交会」という略称で親しまれるほど、これまで中国貿易の風向計とされてきた。
しかし、開幕式が行われた15日には、初日の賑わいはなく、例年と比べてひっそりとしており、買い手も模様眺め傾向が濃厚である。田舎の自由市場になり下がったと嘆く出展者もいる。海外、特に欧米からの買い付け業者が大幅に減った、と出展者の多くが口を揃える。