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香山リカの「ほどほど論」のススメ
【第3回】 2011年10月24日
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香山リカ [精神科医、立教大学現代心理学部教授]

自分が選択しているつもりが
無意識のうちに多数派におもねるようになっていないか

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人は選択肢が2つしかない場合、どちらが世の中で優勢かを無意識に考えて選んでしまう。これはあたかも自分の意志で決めているようにみえて、実は周囲の意見に大いに影響されているのだ。問題を二者択一にするとわかりやすいが、その弊害はあまりにも大きい。

自分で選択しているつもりでも
知らないうちに多数派に入ろうとする思考が

 なぜ択一思考が問題となるのか。今回は極端な二者択一をすることの弊害についてお話ししたいと思います。

 数ある弊害のうち最初に指摘しておきたいのは、自分の意思で選択しているつもりになっていても、実はそうではない可能性があるということです。

 では、何を拠りどころに選択しているのでしょうか。

 これには二つのことが考えられます。一つは誰か特別な人、いわゆるカリスマと呼ばれる人の意思のようなもので選ばされているということです。

 幸いなことに、現在の日本ではこのような状況はほとんどみられないでしょう。これはいわゆる全体主義に流れやすい危険性をはらんでいます。

 もう一つが今の日本で起こっている、私が危惧する問題です。

 それは、自分で選択しているつもりになっていても、どちらが優勢かを知らず知らずのうちに判定し、それを当てるゲームのようになっているということです。

 有利な側につくという意味の「勝ち馬に乗る」という言い方があります。

 具体例に当てはめて言うと、野田内閣を支持するか否かを問われたときに「私はどう思っているか…」と考えるのではなく、まず「他のみんなはどう思っているか…」という状況を見て、多数派に便乗することを指す言い方です。

 選択肢が二つしかないと必ずどちらかが多くなり、一方は少なくなります。そのため、勝ち負けという発想につながりやすくなってしまいます。

 そこでは、少数派イコール負けと捉えられます。

 多くの人は負け側に入るのを嫌がり、多数派に回ろうとするものです。その結果、物事を選択するときに、無意識のうちに自分の意見よりも「世間の風はどちらに吹いているか」という基準を優先してしまうようになってしまうのです。

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香山リカ [精神科医、立教大学現代心理学部教授]

1960年北海道札幌市生まれ。東京医科大学卒業。豊富な臨床経験を生かし、現代人の心の問題のほか、政治・社会評論、サブカルチャー批評など幅広いジャンルで活躍する。著書に『しがみつかない生き方』『親子という病』など多数。


香山リカの「ほどほど論」のススメ

好評連載「香山リカの『こころの復興』で大切なこと」が終了し、今回からテーマも一新して再開します。取り上げるのは、社会や人の考えに蔓延している「白黒」つけたがる二者択一思考です。デジタルは「0」か「1」ですが、人が営む社会の問題は、「白黒」つけにくい問題が多いはずです。しかし、いまの日本では何事も白黒つけたがる発想が散見されるのではないでしょうか。このような現象に精神科医の香山リカさんが問題提起をします。名づけて「ほどほど」論。

「香山リカの「ほどほど論」のススメ」

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