
一般大学に比べ、美大の学費は高めに設定されている。国公立美大はまだ安価だが、私立美大の学費は4年間で600万円が目安、学校によっては1000万円近くかかることも……。「そんなにお金をかけて美大に行く価値はあるのか?」多くの親が抱く疑問に、人気イラストレーターのRellaさんと美術評論家の沓名美和さんが答える。通信教育という選択肢も登場した今、美大教育の真の価値とは何か?専門学校との違い、美大で学んだことが現在イラストレーターの仕事にどう生かされているのかについても聞いていく。(京都芸術大学客員教授、多摩美術大学客員教授 沓名美和、イラストレーター Rella、構成/ライター 石垣久美子)
イラストレーターにとって、学費の高い美大で学ぶ意義とは?
――Rellaさんは中国の名門、清華大学美術学院に在学中にイラストレーターとしてデビューし、「初音ミクシンフォニー」や「初音ミク Happy 16th Birthday -Dear Creators-」等でキービジュアルを手がけています。Rellaさんの作品は、光と影を操る美しい世界観が印象的ですが、美大での経験は生かされていますか?
Rella:今でこそ色彩やライティングを評価されることが多いですが、美大受験時は色彩は大の苦手だったんです。色彩理論などの知識は受験生時代でも塾である程度学びましたが、大学の授業でさらに理解を含めて、練習を重ねてから、色のバランスがわかるようになりました。絵の見え方が変わったんです。
独学のイラストレーターにも素晴らしい作風を確立した方はたくさんいらっしゃいますが、その一方で、キャラのアップは得意だけど体全体のバランスがうまく取れない人や、ポージングが苦手な人などもいます。
