立川で生産される「精密位置決めスイッチ」に世界から注文が殺到する理由メトロールの主力製品「精密位置決めスイッチ」。今や世界の工場を支えている

海外売上高比率は60%超
世界唯一の製品を複数持つ中小企業

 東京都立川市に本社を置くメトロールは、小規模ながら世界唯一の製品をいくつも持つグローバル企業である。

 スマホ、パソコン、自動車、半導体、医療機器など私たちの生活を支えている工業製品の生産工程では、ほぼ全てで同社の製品が縁の下の力持ちとして働いている。

 国内はもとより、世界68ヵ国、のべ3000社以上と取引し、海外売上高比率は60%を突破している。

 メトロールの社名が、「measure」(計測)と「control」(制御)から由来するように、同社は精密加工に欠かせないセンサのプロ集団である。そのセンサを「精密位置決めスイッチ」という。スイッチと言っても、電気を入れたり切ったりするわけではない。工作機械などの製造装置やロボットが正確な動作をするための工業用スイッチで、工作機械の工具の先端の位置を精密に決めることで、設計図通りの加工が可能となるのだ。

 従来から、こうした工業用センサは磁力や光の変化で測定する非接触の電気式が主流である。しかし機械内は熱や磁界が変化しやすく、金属を削った切粉、クーラント(冷却・潤滑用液)などが飛び散る過酷な環境で、電気式では精度が悪くなり、ミクロンレベルで測定ができず、結果的に加工不良が発生する原因の1つになっていた。