DMも私信の形で語りかけるように、わかりやすく簡潔に製品メリットを紹介した手紙と、サンプル、パンフレットを送っている。

「手紙の最後に『ご興味があれば、サンプルの提供や、技術打ち合わせに訪問したい』と書き入れると、意外と高い確率でアポイントが取れます」

「指示待ち社員など要らない」
新人にも管理職並みの責任を

 同社は上海と台湾に子会社を持っているが、主に現地の需要に応えている。それ以外の海外に対応するのが、本社にいる4人の海外営業担当だ。すべて20代の若い社員で、女性が多い。

 ASEAN責任者は入社6年目の女性社員で、入社後3年半のときに主任兼ASEAN責任者に抜擢された。抜擢というより、同社では経験がなかろうと、どんなに若かろうと、躊躇なく大企業の管理職レベルの仕事でも任せるのが松橋の方針だ。

 自分の頭で考え、判断し、行動する自立した人しか新卒でも採用しないという考え方で、入社後も初年度から製品開発や販売エリアを全て任される。上司の指示など待ってる人は通用しない。

 ASEAN責任者の社員も、入社4ヵ月後に会社名義のゴールドクレジットカードを渡され、「自由に行ってこい」と送り出された。

 海外担当は全員がゴールカードを持ち、よほどの高額でなければ取引先との会食や出張の飛行機代、ホテル代など自由に使える。海外出張が必要ならば、いちいち上司の決裁などいらず、勝手に飛行機のチケットを予約して飛んでいく。

「新入社員だろうと、私は全く不安に感じません。日本のような社会規範を守る国では、へたに知識や経験のある人は、先を読みすぎてチャレンジしない。でも、海外ビジネスは現地に行って、人に会ったり、現場を見たりしないとわからないことが多いんですよ。

 だから、注文が1個でも、面白そうな案件なら、現地に飛んで人に会いに行くように言っています。中には1個から1万個の取引に拡大することもあるんですよ。ビジネスはチャンスと創造。氷山の下には大きな氷が隠れている。リスクを恐れず、血の通った商売をすることが大切です」