社員を追いつめる
「世界一」の重圧と強迫観念

 神戸製鋼所に「世界一病にかかってます?」と質問状を送ったわけではないので、ここからは完全に筆者の個人的見解だが、外から見る限り同社はかなり重い「世界一病」にかかっている。

 それを象徴するのが、「そこが知りたい注目の技術・製品」というページでサラッと述べられた「自画自賛」だ。

 《実は世界一・日本一を誇るものがいくつもある、KOBELCOの技術・製品。》(神戸製鋼所ホームページより)

 もちろん、この言葉に偽りはない。シェア世界一のエンジン用弁バネ材をはじめ、神戸製鋼所に「世界一」と評されるような技術・製品があるのは紛れもない事実だ。ただ、このような評価というのは基本的に「第三者」が行うものではないだろうか。

 顧客のために技術を磨き、高い品質を追い求めた結果、世の中から「世界一」と褒め称えられているのなら特に目くじらをたてるような話ではないが、自分たちのことを「世界一」だと誇るようになってくる、というのは「ものづくり企業」としてはかなり危ない。

 なぜか。最初のうちは現場の士気を高めるなどプラス効果が期待できるが、「世界一」という自画自賛が何年、何十年も繰り返されていくと、そこで働く人たちを「世界一にならなくては」と追いつめる強迫観念になってしまうからだ。