多くの親が知らない、最初の反抗期の乗り越え方

2~3歳の時期、子どもには最初の反抗期が訪れます。俗に「イヤイヤ期」などと言いますが、親が何を言っても「イヤッ!」となり、多くの親がどう対応してよいのかわからず途方に暮れてしまいます。

子どもは自分の行動をコントロールされるのが嫌だから「イヤイヤ」言っているのですが、その気持ちを親に受け入れてもらえず、さらに「もう知らない!」などと突き放されようものなら「愛されている自信」が崩れてしまうのです。
では、どうすればいいのでしょうか?

情緒不安定になっている子どもに対しては、抱きしめたり、頰ずりをしたり、背中をさすったり、頭をなでたりと、スキンシップを増やすことで、おかしな行動はすぐにおさまります。

ところが、大半の親がこの簡単な対処法を知らないのです。多くの親は「十分」だと思っていても、実は子どもにとっては「不十分」。愛情の実感が足りていない、というケースが多々見られます。

子どもの心の中には「自信」と「不安」が常に同居しているのです。情緒不安定になるのは、「不安」が「自信」よりも大きくなった時であり、子どもは必ず「不安だ、助けて!」というサインを出します。

これを見逃さないようにしてください。子どもにいつもと違うしぐさが目立つ時は「不安」が大きいあらわれです。
指しゃぶり、つめ噛み、おねしょ、親にまとわりつく、幼稚園に行きたがらない、愚図りが多くなる、などは「不安」を両親に訴えているサインです。

子どもに「不安」のサインが見えたら「不安」にはふれずに、「自信」を大きくすることを心がけてください。6歳くらいまでの子どもは1日の中でも「自信」と「不安」が左右にふれています。

自信が大きい時は元気で活発なのですが、不安が大きくなると不機嫌で消極的になります。このわずかな心の変化を見逃さずに、スキンシップの量を調整しましょう。

しつけもスキンシップでうまくいく

「しつけ」の時も、スキンシップを増やせばうまくいきやすくなります。人は、心が満たされていない時に「ああしなさい!」「こうしなさい!」と言われても動いてくれません。

しかし、スキンシップで心が満たされれば、親の言うことを聞き入れる余裕が生まれるのです。「しつけ」は子どもの「自信」が大きいタイミングを見計らって伝えないと失敗します。

特に不安が強い時、情緒不安の時には無理にしつけようとせず、スキンシップで心を満たしてから「しつけ」を伝えるようにしましょう。たとえば、保育園や幼稚園に通い始める時、「行きたくない!」「やだやだ!」と泣きじゃくる子どもがいます。親から離れられないというのも「根拠のない自信」が揺らいでいるサインです。

この時、「二度とママ(パパ)に会えなくなるかもしれない!」「ママ(パパ)がいなくなっちゃうかもしれない!」、もっと極端に言えば「ママ(パパ)から捨てられるかもしれない!」という不安が心のどこかにあるのです。 この時に「ママ(パパ)を困らせないで!」「もう知らない!」と突き放すと、子どもはさらに「いやだー!」と激しく泣きじゃくります。

安心できる家庭を離れて新しい環境に入ることは、幼い子どもにとっては一人で外国に行くような大きなチャレンジなのです。この不安感を乗り越えるには「何があってもママ(パパ)が守ってくれる!」と子どもが100%確信していなければなりません。

まずは「◯◯ちゃん、寂しい思いをさせてごめんね」と、子どもに謝ってください。そしてギュッと抱きしめてあげます。子どもが落ち着いたら「ママ(パパ)も◯◯ちゃんと離れるのはつらいの。でもママ(パパ)はお仕事があるからずっと一緒にはいられないの。何かあったら必ずママ(パパ)が助けに来るから。少しの間だけがまんしてね」と伝えてください。

そうして「自分はママ(パパ)から受け入れられている。だから少しくらい離れていても大丈夫!」と確信できれば、後ろを何度もふり返って母親の姿を確認することなく、前を向いて堂々と新たな環境へ踏み出して行けるようになります。

後編へつづく

(この原稿は書籍『世界標準の子育て』から一部を抜粋・加筆して掲載しています)