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辻褄合わせの「100年安心」をいつまで唱えるのか?
支給開始年齢議論が奏でる“年金制度崩壊”の序曲

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第198回】 2011年10月25日
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経済低迷、人口減少、少子高齢化
早く改革しないと年金制度自体が崩れる

 今、ユーロ圏におけるソブリンリスクなどの問題に注目が集まる一方、我々の生活にもっと大きな影響を与える「年金制度改革」について、議論が進もうとしている。

 年金制度問題の最も厄介なことは、国内経済の低迷や人口減少、少子高齢化などといった悪条件が重なっているため、早くそれなりの解決策を見つけないと制度自体が崩れてしまうことが懸念されることだ。

 一方、年金を受け取る側からすると、アテにしてきた年金がもらえなくなると、老後の人生設計が大きく崩れてしまう。それは、大きな不安要素である。

 問題は、国民の不安をできるだけ増幅させずに、制度維持の方策を探らなければならないことだ。それは、口で言うほど容易なことではない。政府が対応を誤ると、制度自体の崩壊を招く一方、国民の不安を増大させて、社会不安を発生させることも考えられる。

 現在、厚生年金の支給開始時期を3年に1歳ずつ引き上げて、男性の場合は2015年までに65歳に、女性の場合には2030年までに同65歳まで引き上げることが決まっている。ところがそれでは遅すぎるということで、ここにきて引き上げペースを早めるなどの案が提示されている。

 1つ目の案は、3年に1歳ではなく、2年に1歳の引き上げへと前倒しにするものだ。2つ目の案は、引き上げは3年に1歳のペースで維持するものの、支給開始年齢を68歳程度まで遅らせるものである。そして3つ目の案は、引き上げのペースを速めると同時に、支給開始年齢を68歳程度にする考えだ。

 いずれの案についても、多くの企業が60歳定年制を維持する下で、年金支給開始年齢を引き上げることは、これから年金を受ける人にとっては大きなマイナスだ。年金制度改革については、今後国民を納得させる議論が必要であることを、政府は充分に理解すべきだ。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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