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外科医のつぶやき

組織活性のレシピーは
“業務工程の可視化と課題の共有”から

柴田 高
【第34回】

 T病院の外科部長を勤めた後、私は製薬会社の経営に携わることになった。「経営トップの仕事とは会社の方向性を示し、決断することである」とあるコンサルタントの先生は私に言う。なるほどと思ったが、一方で、決断をしたあと、組織を動かすためには各部門の業務工程が問題だと病院時代の経験から感じていた。

 私は外科医一人の力だけでは患者さんに対して何もできないと認識していた。一方、外科医の強いリーダーシップにより病院組織を動かし、一人ひとりの患者さんに対して個別のチーム医療を実行できることも事実であった。けれども、医療の安全性と品質そして効率性が求められ、それを安定的に実行するためにこそ、戦略的な組織医療が必要とされた。

 「次回の病院クリニパス大会では司会をお願いしますね」とT病院クリニカルパス委員会でM看護部長。

 「はい、わかりました。外科からは腹腔鏡胆嚢摘出術のパスの成果を発表します」と私が答える。

 「ほかに追加発言される方、おられますか」と看護部長。

 「はい、いま、糖尿病患者さんの栄養指導のパスを開発していますので」と栄養士のNさん。

 「では次回は発表者が多いので栄養指導のパスの報告は情報提供ということでお願いします」と看護部長。各部門から活発な発言があり、その日のT病院クリニカルパス委員会は終了した。

 その後、私は委員会に参加されていた病院長のS先生から、声をかけられた。クリニカルパスとは、患者さんが診療を受けるときの検査やリハビリといったスケジュールを表にまとめたもので、それぞれの診療工程であるレシピーが職種を問わず実施内容がA3用紙一枚に集約して記載され、そのフローチャートが業種を超えて共有される。その導入は病院長が積極的に推し進める病院構造改革のひとつであった。

 「先生、看護部が本気になってくれています。医者と違って看護師は団結力が違う。さらに薬剤師や技師さんたちも巻き込んでくれています。看護部は看護診断にパスを入れた本を出版しますよ」とS院長が教えてくれた。

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柴田 高

川崎医科大学卒業後、大阪大学論文博士課程修了。日本外科学会指導医。日本消化器外科学会専門医。現在は大幸薬品社長。著書に『カリスマ外科医入門』『肝癌の熱凝固療法』がある。


外科医のつぶやき

現在は製薬会社役員である外科医師による医療エッセイ。患者の知らない医師の世界。病院の内側が覗ける、ここだけの話が満載。

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