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豚肉偽装で厳罰処分のウォルマート中国は
共産党権力闘争のスケープゴートか

週刊ダイヤモンド編集部
2011年10月31日
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 通常の豚肉に有機飼料だけで育てた「有機豚」のラベルを貼って販売していた──。「中国では日常茶飯事」(日系スーパー幹部)と言われる、この豚肉偽装販売で世界最大の小売業、米ウォルマート・ストアーズの中国現地法人ウォルマート・チャイナが厳罰に処せられた。

 重慶市当局は10月9日、ウォルマートに対して偽装販売などを理由に同市内にある全13店舗の15日間の営業停止と269万元(約3240万円)の罰金を科す処分を言い渡した。また、市公安局は店舗従業員37人の身柄を拘束、うち2人を逮捕した。

 消費者に健康被害が出たわけでもないのに逮捕者まで出すとは、「異例の厳罰処分」(同)である。

 当局の処分があってから約1週間後、ウォルマート・チャイナを足かけ5年に渡って率いてきたCEO(最高経営責任者)の陳耀昌氏が人事担当役員と共に辞任した。ウォルマート側はこの辞任を「個人的理由によるもの」としているが、偽装販売問題が影響したことは想像に難くない。

 さて、この問題、重慶市民はどのように捉えているのだろうか。営業停止処分が明けた同月25日からウォルマートは重慶市内全店の営業を再開したが、中国事情に詳しいサーチナのメディア事業部編集主幹・鈴木秀明氏によれば、再オープンしたウォルマートの店舗は開店前から行列ができるほど多くの客で賑わったと地元メディアは報じている。

 また、「『環球網』など愛国主義的なインターネットメディアを含めて、今回の偽装問題でウォルマート叩きや外資を強く批判するような論調は見受けられない」(鈴木氏)。

 ここから浮かび上がってくるのは、偽装問題を「何もウォルマートに限ったことではない」と冷静に受け止める一般市民と、同社の厳罰処分に前のめりになった市当局との対照的な姿勢だ。

「太子党」vs.「共青団」

 中国は来年の第18回共産党全国代表大会を控え、政治の季節を迎えている。あと1年もすれば総書記などの新指導部が決まり、ポスト胡錦涛体制が固まる。

 最高指導部である党政治局常務委員も現任の9人のうち、次期総書記の最有力候補である習近平国家副主席と温家宝首相の後任と目される李克強副首相を除く7人が入れ替わる見込みだ。

 政治局常務委員入りを巡ってさまざまな場面で権力闘争が繰り広げられているが、なかでもライバル視されているのが薄熙来氏と汪洋氏。薄熙来氏は現・重慶市書記、そして汪洋氏はその前任者であり現・広東省書記である。

 ちなみに重慶は、北京・上海・天津と並んで中国に4つしかない直轄市の1つであり、直轄市の政治トップである党書記は閣僚級のポストとなっている。

 薄熙来氏は父親が副首相を務めた2世政治家で、習近平国家副主席と同じく高官子弟の「太子党」を支持母体とし、江沢民・前国家主席ら保守派に近い。

 一方の汪洋氏は胡錦涛国家主席や李克強副首相と同じ共産主義青年団(共青団)の出身。既得権益層、特権階級とは距離があり、開放的な経済政策、法治主義を重んじる立場と見られている。

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