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鉄鋼業界の再編と一線を画す
神戸製鋼が温める“溶接技術”

週刊ダイヤモンド編集部
2011年11月2日
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ワイヤーの中に粉状の溶接剤が詰まっている。その調合も独自のノウハウである

 世の中の産業のインフラである鉄鋼業界では、世界規模での業界再編の動きが加速している。そのあおりを受け、国内では業界1位の新日本製鉄と3位の住友金属工業が合併に向けて動き出した。

 2012年の秋に誕生する新会社(新日鉄住金)と2位のJFEスチールで、“国内2強”の誕生となる一方、こうした再編劇からぽつんと取り残された感がある4位の神戸製鋼所は、そのような印象とは裏腹に、世界でも同社にしかない固有の技術で一発逆転に向けて歩み始めている。

 その技術は、材料の世界の常識ではありえなかった「鉄とアルミを溶接する技術」で、神戸製鋼では、環境問題を背景とする“自動車の軽量化”を見越して、差別化の決定打にしようと目論む。一般的に、異なる金属を溶接すると腐食が起こるが、同社は鉄とアルミの接合部に自社開発した特殊溶剤を含むワイヤーをはわせ、それを電機工事のハンダ付けの要領で溶かして腐食を封じ込める技術を開発した。

 自動車の軽量化とは、鉄の強度を上げれば、使用量が減らせて重量を軽くできる。すると、燃費がよくなり、二酸化炭素の排出量も減らせるという考え方だ。

 だが、仮に鉄の使用量が減っても、それを補うに足る付加価値が提供できれば、素材だけの単純な価格競争に陥らなくてすむ。たとえば、自動車のドアの製造では、表が鉄、裏がアルミという組み合わせでも、1社で溶接できるのは、現時点で神戸製鋼だけなのだ。

 もとより、神戸製鋼は、連結売上高の80%以上を鉄鋼事業が占める新日鉄やJFEスチールとは業態が異なる。鉄鋼事業は43%にすぎず、アルミ・銅事業や建設機械事業で稼ぐ。佐藤廣士社長も、事あるごとに「鉄で規模の追求はしない」と繰り返す。

 現在は、最も要求水準が高い日本の自動車メーカーで実用化に向けた耐用試験などが続けられている段階だが、将来的には中国の自動車産業への参入も視野に入るだけに、おもしろい展開になりそうである。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)

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