社員教育に「漫才」を導入する企業の思惑<br />仕事で一発屋にならないためには“笑い”が必要?さまざまな種類の研修がある。講義型研修が全てではない(写真はイメージです)

「面白い人はモテる」──老若男女を問わず、笑いがとれる人はモテる。これは,なにもお笑い芸人に限った話ではない。

 面白いというのは、一緒にいて楽しいということ。場を明るく楽しいものにできるのは、その人の立派な能力である。

 和み、癒し、安心させる。「笑い」の持つそんな力に注目した企業がある。自動車やバイクの中古部品販売会社アップガレージは、社員研修に漫才を導入している。

 入社数年目の若手社員がコンビを組み、自分たちでネタを考える。講師として招いた放送作家に、ネタの基本的な作り方や笑いをとるためのコツを教えてもらいながら完成を目指す。本格的だ。

 できあがったネタは、研修の最後に社員の前で披露する。その中から社長が選んだ上位3組は、来春の入社式に“出場”し、グランプリが選ばれる。

 このところ、社員研修に笑いの要素を取り入れる企業が増えている。漫才のように、ある意味“直接的な笑い”を取り入れることもあれば、かっちりした雰囲気で進められる講義型の研修でも、ところどころ笑いが生まれるようにするなど、受講者の興味を引く内容にするために、講師陣は苦労している。

 研修というのは、その場にいて聞くだけでは意味がない。内容を理解し、研修後に自ら実践しなければ意味がないのだ。そう考えると、研修の内容はもとより、受講する場の雰囲気が効果、つまりは本人の成長度合いを左右するのは間違いない。

 人を笑わせるとは、自分が笑われること。それには勇気がいる。そしてなにより度胸がつく。お笑いの世界は厳しい。今日の人気が明日終わってしまっている可能性もある。私たちも笑いのスキルを磨き、ビジネスの世界の「一発屋」にならないよう、じゅうぶんに注意したい。

(筒井健二/5時から作家塾(R)