部下のマネジメントが難しい時代になった。特に多くの管理職が頭を悩ますのが、注意やアドバイスにすぐに反発する部下の扱い方だ。
中堅不動産会社の経理部で課長を務める40代のAさんは、部下から思いがけない反応が返ってきて戸惑うことが多いという。
つい先日も、部下の仕事ぶりを見ながら「あれでは能率が悪くて大変だろう。ここは一つ助け船を出してやろう」と思い、手際が悪い部下のBさんに対して、こうアドバイスした。
「そのやり方だとちょっと能率が悪いなあ。こんなふうにやったらどうだ。もっと能率よくできるはずだから」
能率アップにつながる有益なアドバイスのはずで、課長は当然、感謝されると思っていた。ところが、Bさんの反応は冷たかった。
「わかりました、そうしてみます」と口では言うものの、ムッとした表情で、不服そうな顔をしている。「ありがとうございます」とか「助かります」というような感謝の言葉はもちろんない。どう見てもこちらに反発している。
かつてはこのようなことはなかったので、「なぜ今どきの若い人たちはいちいち反発するのか、まったく理解できない。ミスを注意しても、親切のつもりでアドバイスしても、素直に受け入れずに不穏な空気になる。これでは部下を戦力になるように鍛えることもできない」と課長は嘆く。
「私はまだマシな方ですけど、他の部署で管理職が部下に注意をしたところ“パワハラだ!”と訴えられた人もいるので、部下の扱いには本当に神経を使います」と戸惑いを隠せない課長。そこにあるのは、若手部下たちの「上から目線」に対する過剰反応というべき嫌悪感だ。