共働き夫婦を悩ませる
「保育園縛り」とは

共働き夫婦の住宅購入は「保育園縛り」を意識し先手必勝で動け写真はイメージです

 今ほど共働きが主流ではない頃は、子どもがいる夫婦のマイホームの「買い時」は、「上の子が小学校入学前」とアドバイスしていた。結婚後、夫婦2人の家計、子どもができてからの家計の両方を経験し、その間に頭金を貯める。小学校入学前に購入すると子どもが転校しなくてすむため、タイミングがいい。

「買い時」のタイミングがわかったら、その時期に向けて「住みたい街」や「予算に合わせた物件」など自分たちの希望や事情に合わせてマイホームを買うエリアを選ぶカップルが多かった。

 ところが、共働きが主流になると「保育園縛り」が発生するようになった。「保活」(保育園に入れるために綿密に情報収集して備え、動くこと)という言葉が生まれるくらい、首都圏の保育園入園事情は厳しい。共働き夫婦にとって、やっと入れた保育園の権利を手放さないことが最優先事項となる。

 上の子が小学校に入っても、下の子がまだ保育園に通っていると「保育園縛り」はまだ続く。小学校を途中で転校させたくないので、上の子が小学校入学前にマイホーム購入を済ませたいと考える。

 そうなると、「住みたい街」や「予算に合わせた物件価格」などと言っている場合でなく、「今の保育園に通えるエリア」で物件を探すことになる。これが「保育園縛り」なのである。保育園に合わせて物件のエリアを限定すると、選択肢は大幅に狭くなってしまう。これは大きなデメリットだ。

 たとえば、全国でダントツの保育園入園激戦区である世田谷区は、不動産価格が高いことでも有名だ。結婚後、世田谷区に賃貸マンションで新居を構えた共働き夫婦が子どもを持ち、保活を経てどうにか保育園に入れることができたとしよう。

 そろそろ家を買おうと思ったとき、「保育園縛り」に気がつき、世田谷区で物件探しをすることになる。若いカップルにとって世田谷区の物件は、予算オーバーになるケースが多い。2駅、3駅西へ行く、多摩川を越すなど選択エリアを広げれば、手に届く物件があっても、優先事項を「今の保育園」とすると、身の丈以上のローンを借りてしまうことになるのだ。