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改訂!健康情報編集部

大人の発達障害、アスペルガーと高知能はコインの裏表

身近な大人の発達障害(前編)

東竜子 [ライター]
【第1回】

 ASDが疑われる人は、大学病院や総合病院の精神科を受診することをおすすめします。ただ、ASDを診断できる医師は多くないようです。各都道府県には、発達障害者支援センターが設置されているので問い合わせてみてください(※2)

 私が現在、晴和病院と昭和大学附属烏山病院で行っている発達障害外来では、当事者のご両親にも来ていただいて、成育歴や、幼児期の対人スキル、共感性、運動技能について聞きます。他にも、自閉症スペクトラム指数(AQ)、広汎性発達障害評定尺度(PARS)、ウェクスラー知能(WAIS)などの検査を行います。

生きづらさを解決するためのデイケア

加藤進昌(かとう のぶまさ) /昭和大学発達障害医療研究所所長。公益財団法人神経研究所晴和病院理事長。東京大学名誉教授。医学博士。1947年、愛知県生まれ。東京大学医学部卒業後、帝京大学精神科、国立精神衛生研究所を経て、カナダ・マニトバ大学生理学教室に留学。帰国後、国立精神・神経センター神経研究所室長、滋賀医科大学教授などを経て、98年に東京大学大学院医学系研究科精神医学分野教授。2008年、昭和大学附属烏山病院に大人の発達障害専門外来を開設し、アスペルガー症候群を対象としたデイケアを、13年に神経研究所附属晴和病院にも発達障害デイケアを開設した。著書に、『あの人はなぜ相手の気持ちがわからないのか―もしかしてアスペルガー症候群!?』(PHP研究所)、『大人のアスペルガー症候群』(講談社)、監修に、『大人の自閉症スペクトラムのためのコミュニケーション・トレーニング・マニュアル』(星和書店)などがある。

 ASDの治療法は確立していません。有効な薬物療法もなく、「信頼ホルモン」と言われる「オキシトシン」の鼻噴霧を5年ほど試しましたが、根源的な治療にはならないようです。ただし、ASDでADHDの特徴も持つ人には、通常ADHDの人に処方されるコンサータ(メチルフェニデート塩酸塩)が効くようです。

 発達障害外来でASDと診断された人には「リハビリ」ともいえるASDプログラムへの参加を勧めます。就労者、未就労者、学生などのグループを対象にしたショートケアとデイケアで、お互いの悩みや思いを共有し、コミュニケーションの練習、発達障害の理解、趣味や娯楽などの共有体験を通して、社会で生活できる処世術を学びます。現在、全国23の機関がこの発達障害専門プログラムを実施しています。

 知的能力が高いながらも、さまざまな失敗体験を、性格や努力不足のせいとされ、自己肯定感の低くなったASDの当事者同士が語り合うことで、気づきが生まれ、他者目線を学習できるようです。プログラムの中断率は1割以下で、参加者は、AQ、コミュニケーション技能(CSQ)、生活の質(WHOQOL)、機能の全体的な評価(GAF)の値で改善が見られました。「自己理解が深まった」「居場所があると感じる」と回答した人が7割。プログラム参加後、当事者の家族の多くは、自閉症特徴が軽減したと評価しています。無職だった人のうち55%が3年以内に就職しており、一定の効果を上げています。

 アスペルガー症候群に対する認知が高まってはいますが、その障害が社会に受け入れられてはいないように感じます。「空気が読めない」「目を合わせて話さない」など独特さはあるものの、ASDの人たちは生まれつき脳の偏りという障害を持ちながらも、周囲の人たちと合わせるために、日々学習しています。社会全体がASDの人たちを受け入れる「生きやすい」環境づくりが期待されます。

(取材・構成/ライター 東竜子)

※1 文部科学省 通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査

(http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/

material/__icsFiles/afieldfile/2012/12/10/1328729_01.pdf)

※2 日本自閉症協会に一覧が掲載されています。

http://www.autism.or.jp/relation05/siencenter.htm

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東竜子 [ライター]

大学卒業後、業界紙記者を経て、現在、医療・介護などを中心に取材・執筆活動を行う。


改訂!健康情報編集部

注目の病気・症状について医療記者が専門家にその原因と解決策を取材。エビデンスに基づく正確な医療情報で、巷にあふれる“いい加減”なものとは一線を画し、常に最新情報に「改訂」していく。

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