アメリカで
クラクションが鳴らされない理由

Photo by Koichiro Imoto

 筆者はよくクルマでロングツーリングを行う。日本でも東京~鹿児島のような旅だと1回で3000km以上。ヨーロッパやアメリカの周遊ではすぐに4000〜5000kmくらいになる。

 その間、ロードレイジのような物騒なトラブルを目撃したり、自分が喧嘩の当事者になることはほとんどない。東京~鹿児島のドライブの場合でも、事故発生や現場検証は毎回必ずといっていいほど目撃するが、ロードレイジはまれにしか見ない。頻度自体は低いのである。

 基本的にロードレイジは、一方が相手を常に警戒していればそう起きやすいものではない。

 今夏、筆者は皆既日食を見ようとアメリカを5000kmほどドライブした。アメリカをクルマで自由旅行するのは久しぶりだったことから、日本との法規の違いもあり、正直なところ、慣れるまではあまり良いドライバーではなかった。

Photo by K.I.

 アメリカ西海岸では、信号が赤でも右折(日本の左折に相当)は断り書きがないかぎり、安全を確認したうえでやっていいことになっている。だが頭ではわかっていても、進行OKの印が出ていないのに赤で発進するというのは心理的抵抗がある。慣れるまでは後ろを何度もイラつかせたことだったろう。

 ヨーロッパや日本だったら「何やってんだ!」とばかりにクラクションが飛ぶところだ。

 ところが、そんな運転をしてしまっていても、クラクションを一度たりとも、ピッと短く鳴らされることすらなかった。アメリカ人にその話をしたら、「鳴らすわけないだろう。向こうにどんな奴が乗っているかわからないんだからな」と笑って返された。

 なるほど納得である。