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TPP参加の意向表明に至った
「野田プロセス」の嫌な感じ

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第207回】 2011年11月16日
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あまりにも理想的な会見のタイミング
TPPには賛成だが「違和感あり」

 野田佳彦首相は、10月12日のAPEC会合に向けて出発する前日に記者会見を行ない、日本がTPP(環太平洋連携協定)に参加したい意向を示す方針を発表した。

 予定では、前日の10日にこの発表を行なうことになっていたが、「もう1日じっくり考えたい」との首相の意向で、記者会見が一日延期され、「党内のTPP反対派に首相が配慮したものだろう」と報じられた。

 だが、結果から見ると、APECのスケジュールにはぴったり間に合っている。APECまで一日空くと、首相ないし周辺が失言したり、政治的に余計な動きが起こったりしたかも知れない。むしろ、これが理想的なスケジュールだったのだろう。

 余裕を持ちながらも、落としどころを見据えた理想的なスケジュールを組んだ事務方がいたにちがいない。

 さて、今回のTPP参加の可否を巡っては、世間的には、ピント外れなものも含めてだが、多くの議論が戦わされた。予め申し上げておくと、筆者はTPP参加に賛成の意見を持っている。

 『ダイヤモンド・オンライン』でもTPPに関する論考がすでにいくつかあるので、ここで詳しくは述べないが、TPPが貿易自由化の進展を意味する限り、特に輸入品価格が下がることによる消費者の利益が大きく、これは競合品生産者の不利益を上回るので、TPP参加には賛成という点が、筆者の賛成論の主な論拠だ。

 加えて、TPPは相互的な条約なので、貿易障壁の低下は日本の輸出産業にとっても利益をもたらす。

 唯一の難点は、TPPに中国や韓国など重要な貿易相手が含まれていないことだが、何もしない現状よりは、TPPに参加した状態の方にメリットがあるし、中国、韓国とはTPP交渉と平行して、中・日・韓のFTA締結を目指す交渉を行なえばいい。TPP参加は当然だと思う。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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