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野口悠紀雄 未曾有の大災害 日本はいかに対応すべきか

大きな曲がり角に立つ介護産業と日本の雇用

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第38回】 2011年11月17日
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介護という「新産業」の登場

 これまで述べてきたように、1990年代の後半以降、日本で起こった基本的な構造変化は、製造業の雇用が減り、介護の雇用が増えたことである。

 両者はほぼ見合ったので、全体の雇用の減少は緩やかなものであった。

 これをもう少し詳しく見ると、【図表1】のとおりである。

 介護職員数は、2000年の約55万人から2005年には約112万人と、約2倍になった。施設の職員よりは在宅サービスの職員の増加が顕著である。

 なぜこのような急激な増加があったかと言えば、要介護人口が増えたからだ。要介護人口は、この間に、218万人から411万人へとほぼ倍増した(【図表2】)。平均年率でいえば、13.5%という高い値だ。

 ところで、高齢者人口はこの間に増えてはいるものの、5年間で倍になるような急激な変化ではない。要介護比率は、80歳以上から増加すると言われているが、80歳以上人口は、5年間で約1割増えているに過ぎない。

 要介護人口の急激な増加は、介護保険が整備されたからである。2000年4月に導入された介護保険制度によって、要介護が顕在化したのだ。

 つまり、この10年間程度は、特殊な期間だったと言うことができる。介護保険制度が導入されて要介護が顕在化し、それに対応するために介護職員数が急増したのだ。

 その意味で言えば、「介護という『新産業』が登場して雇用を吸収した」と表現してもよい状態だったのである。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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