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「選挙?行くわけないよね~」
権利はあっても棄権する、上海の人民代表選挙事情

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第89回】 2011年11月18日
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区の代表や県の代表は
直接選挙で選べるのだが……

 11月16日、上海市の黄浦区と静安区を除く15の区と県で5年に一度の人民代表の選挙が行われた。上海市や全国の代表は選挙で選べないものの、市民にとって身近である区や県の代表は直接選挙で選ぶことがきる。

 その日の夕刊には、新選挙法に基づいて人口比例で候補者を立てたこと、女性の候補者の比率が上がったこと、また選挙登録がシステムの導入によりスピードアップしたことが取り上げられ、選挙がつつがなく終了したと伝えられた。

選挙らしさと言えば「小区」に張られた赤い横断幕くらい
Photo by Konatsu Himeda

 上海では10月ぐらいからアパートが建ち並ぶ住宅地に、赤い横断幕が張られるようになった。さすがに日本で行われるような選挙カーによる演説もなければ、候補者のポスターも貼られてはいないが、唯一この赤い横断幕が、選挙日の到来が近いことを告げていた。

 しかし、この選挙自体を「単なる形式上のことだ」と割り切る者は少なくなかった。上海では「選挙」の話題に盛り上がりはないどころか、意外にも“冷めた雰囲気”に拍子抜けしてしまうほどだった。

 筆者は「投票前夜」の街を徘徊してみた。

 上海市閔行区の、とある文化活動室を訪れた。ここは言ってみれば市民の娯楽室で、パソコンやピアノ、ダンスを習ったりできる手近な交流の場でもある。

 パソコンの前に座ってゲームを楽しむ熟年婦人4人に「明日は投票に行くんですか?」と尋ねたが、その反応は異口同音にして「行くわけないわよね~」というものだった。そのうちの1人がこう言った。「まったく興味ない。だって、選挙に行ったって、世の中ちっとも変わらないでしょう?」。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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