先週は、スマホの普及が日本の端末メーカーやコンテンツ企業には必ずしもプラスになっていないことを説明しました。今週は、スマホのプラットフォームを米国ネット企業が支配していることの弊害を説明したいと思います。

アンドロイド上で生じている問題

 今やスマホ向けのOS(基本ソフト)では、グーグルのアンドロイドが出荷台数ベースで世界第1位と、日本でもアンドロイドフォンが急速に普及しています。それは言葉を換えれば、スマホのプラットフォーム(アプリ/コンテンツ/サービスを提供する場。平たく言えばスマホで様々なアプリが並ぶ画面のことです)がグーグルの独壇場となりつつあるのです。

 もちろん、ユーザの立場からすれば、スマホが便利であれば何の問題もありません。しかし、アンドロイドフォンにアプリ/コンテンツ/サービス(以下「アプリ」と総称します)を提供する側からすれば、既に様々な問題が生じているのです。

 第一は、アプリを提供する公式マーケットであるアンドロイド・マーケットの運用のあり方です。

 グーグルはパソコン上と同様のオープンな世界にしようとしているのでしょうが、配信されるアプリの事前審査がしっかりと行なわれていないため、結果的にアンドロイド・マーケット上では違法コンテンツが蔓延しています。実際、マーケット内の人気ランキング上位のアプリの多くが違法コンテンツになっている位です。

 また、マルウェア(悪意あるソフトの総称)アプリでユーザの個人情報が抜き取られたり、普通のアプリだけど広告目的でユーザのスマホ上での行動が密かにデータとして取られる、といった被害も発生しています。

 その一方で、アプリの審査がキリスト教的な米国基準になっているためか、日本のマンガなどポップカルチャーのコンテンツは配信を拒否されることが多いのです。

 加えて言えば、アンドロイド・マーケット上でアプリを販売する場合、課金手数料として価格の30%をグーグルに払わなくてはなりません。従来のガラケーでコンテンツを販売する場合、キャリアに払う手数料が定価の10%程度であったことを考えると、かなり高額です。