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岸博幸のクリエイティブ国富論

スマートフォンを巡るグーグルとアップルの横暴

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第165回】 2011年11月25日
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 先週は、スマホの普及が日本の端末メーカーやコンテンツ企業には必ずしもプラスになっていないことを説明しました。今週は、スマホのプラットフォームを米国ネット企業が支配していることの弊害を説明したいと思います。

アンドロイド上で生じている問題

 今やスマホ向けのOS(基本ソフト)では、グーグルのアンドロイドが出荷台数ベースで世界第1位と、日本でもアンドロイドフォンが急速に普及しています。それは言葉を換えれば、スマホのプラットフォーム(アプリ/コンテンツ/サービスを提供する場。平たく言えばスマホで様々なアプリが並ぶ画面のことです)がグーグルの独壇場となりつつあるのです。

 もちろん、ユーザの立場からすれば、スマホが便利であれば何の問題もありません。しかし、アンドロイドフォンにアプリ/コンテンツ/サービス(以下「アプリ」と総称します)を提供する側からすれば、既に様々な問題が生じているのです。

 第一は、アプリを提供する公式マーケットであるアンドロイド・マーケットの運用のあり方です。

 グーグルはパソコン上と同様のオープンな世界にしようとしているのでしょうが、配信されるアプリの事前審査がしっかりと行なわれていないため、結果的にアンドロイド・マーケット上では違法コンテンツが蔓延しています。実際、マーケット内の人気ランキング上位のアプリの多くが違法コンテンツになっている位です。

 また、マルウェア(悪意あるソフトの総称)アプリでユーザの個人情報が抜き取られたり、普通のアプリだけど広告目的でユーザのスマホ上での行動が密かにデータとして取られる、といった被害も発生しています。

 その一方で、アプリの審査がキリスト教的な米国基準になっているためか、日本のマンガなどポップカルチャーのコンテンツは配信を拒否されることが多いのです。

 加えて言えば、アンドロイド・マーケット上でアプリを販売する場合、課金手数料として価格の30%をグーグルに払わなくてはなりません。従来のガラケーでコンテンツを販売する場合、キャリアに払う手数料が定価の10%程度であったことを考えると、かなり高額です。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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メディアや文化などソフトパワーを総称する「クリエイティブ産業」なる新概念が注目を集めている。その正しい捉え方と実践法を経済政策の論客が説く。

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