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森信茂樹の目覚めよ!納税者

あのオリンパスも元大学総長も活用した
「タックスヘイブン」と先進国の戦い

森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]
【第15回】 2011年11月25日
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海外への資産フライト

 「セレブもOLも高齢者もせっせと預金を海外口座に移している。その驚くべき方法とは?」

 これは、文春新書から出ている「資産フライト 『増税日本』から脱出する方法」という書物のカバー書きの内容である。この本は、外国への資産逃避を進める理由として、金融規制や低利回りなどをあげている。高い金融利回りを求めて海外資産運用が高まることはむしろ当然のことと言えよう。

 しかし、日本の居住者である限り、たとえタックスヘイブンや銀行機密保護が強力なスイスなどに金融資産を移したとしても、そこから生じる所得は、日本で税務申告する義務がある。これを怠れば、脱税として刑事罰の対象となる、ということは、銘記しておいたほうがいい。

 資産フライトが、脱税の勧めとなってはならないのである。

膨れ上がるケイマン・マネー

 オリンパス事件で注目が集まっているケイマン・マネーだが、わが国とケイマンなどタックスヘイブンがらみの直接投資は急増している。

 タックスヘイブンというのは、租税回避地(租税天国ではない!)のことで、これから述べるように、税率の無い、または低い国・地域というより、情報の透明性に欠ける国・地域、というように、定義自体が変わってきている。

 日本銀行の国際収支統計(2006年)でわが国の対外・対内直接投資の相手先国をみると、わが国に直接投資を行っている国の第1位は米国であるが、第2位はオランダ、第4位はケイマン諸島、第7位はシンガポールである。他方で、わが国が対外直接投資を行っている国をみると、第1位は米国であるが、第2位はオランダ、第5位はケイマン、第7位シンガポールとなっている。

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森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]

(もりのぶ しげき)法学博士。東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務総合研究所長を最後に退官。その間大阪大学教授、東京大学客員教授。主な著書に、『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)『日本が生まれ変わる税制改革』(中公新書)など。
 

 


森信茂樹の目覚めよ!納税者

税と社会保障の一体改革は、政治の大テーマとなりつつある。そもそも税・社会保障の形は、国のかたちそのものである。財務省出身で税理論、実務ともに知り抜いた筆者が、独自の視点で、財政、税制、それに関わる政治の動きを、批判的・建設的に評論し、政策提言を行う。

「森信茂樹の目覚めよ!納税者」

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