
全国の路線価が7月1日に発表された。路線価は4年連続で上昇し続けており、今年は2010年以降で最高の上昇率を記録していることをご存じだろうか。相続対策を進める方にとって「路線価また上がったの!?」というのが正直な声だろう。路線価の動きは、私たちの相続にダイレクトに大きな影響を及ぼす可能性がある。路線価が上がれば上がるほど、相続が発生し、土地の評価が必要となった際に相続税の負担が増えることになるからだ。「まさか、うちの土地がそんなに高くなっているとは…」という声も少なくない。特に、都心や人気の観光地、交通の便が良いエリアに不動産をお持ちの方は注意が必要だ。そこで、本記事では最新の路線価について徹底分析し、相続に与える影響や地価上昇時代を生き抜くためのポイントを解説する。(税理士・岡野相続税理士法人 代表社員 岡野雄志)
最新版路線価の結果を徹底分析
上昇率1位の「意外な場所」
相続税や贈与税の算定基準となる「路線価」がこの7月1日に公表された。
全国平均・全用途で前年比2.7%の上昇を記録し、4年連続の上昇となる。特筆すべきは、その上昇率が2010年以降で最も大きかったことだ。好調なインバウンド需要と根強い住宅需要が、この上昇の主要因と考えられる。
次に、今回の路線価公表で明らかになった主要なポイントを解説する。
路線価の上昇を都道府県別に分けると、35の都道府県で路線価が上昇している。特に顕著な伸びを見せたのは、東京都(8.1%増)・沖縄県(6.3%増)・福岡県(6%増)だ。これらの地域はビジネス・観光に強く、居住希望者も多い。高い不動産需要を維持している地域は上昇が著しい。
東京都の場合、国内最高路線価地点を有している。40年連続で日本一の座を維持したのは、東京都中央区銀座5丁目の「銀座中央通り」だ。1平方メートル当たり4808万円という価格は、過去最高額を更新した。これは、銀座が依然として商業地としての圧倒的な価値とブランド力を持ち続けていることの証明に他ならない。一方で、都市部だけが上昇傾向にあるのではない。