金の亡者でもロマンチストでもないベンチャーキャピタルの二面性米サン・マイクロシステムズを立ち上げ、VCへと転向した、歯に衣着せぬ物言いで有名なビノッド・コースラ(Vinod Khosla) Photo:REUTERS/アフロ

 昨今、米国のベンチャーキャピタル(VC)への出資を検討する日本企業が増えてきている。

 それ自体は意味があるのだが、そのときに気になるのが、「わが社は投資リターンを求めていない。あくまでVCから新事業情報を得るのが目的だ」という経営トップの発言だ。

 ここには大きな誤解がある。それを明かす前にVCがどう理解されているのか、日本のウィキペディアを参考に見てみよう。

「VCとは、ハイリターンを狙った投資を行う投資ファンドのこと。主に高い成長率を有する未上場企業に対して投資を行い、投資した企業を株式公開させたりして利益を得る。資金を投下するのと同時に経営コンサルティングを行い、投資先企業の価値向上を図る。担当者が取締役会等にも参加し、経営陣に対して多岐にわたる指導を行う」(筆者要約)

 必ずしも間違ったことを言ってはいないものの、シリコンバレーのVCの実態を知る者としては違和感がある。

 その違和感を生む原因は、既存の株式投資の枠組みで語られていることだ。本物のVCは、既存市場や既存事業で成長している未上場企業へ投資してハイリターンを目指す、わけではない。

 ではVCをどう理解すべきなのか。ここで、VC界の大物の一人、ビノッド・コースラ(Vinod Khosla)をご紹介しよう。