北朝鮮のICBM発射は
事態深刻化の引き金

 北朝鮮は、ミサイルを発射した後、国営メディアを通じた政府声明で、新型の大陸間弾道ミサイル「火星15」の発射実験に成功したと発表。金正恩委員長は「国家核戦力完成の歴史的大業、ミサイル強国の偉業が実現した」と宣言した。

 火星15は、液体燃料を使用した多段式のロケットで、ロフテッド軌道で打ち上げられたが、通常軌道であれば射程1万3000キロメートルで米本土全域を攻撃できると想定される。

 北朝鮮が、ICBMの大気圏再突入技術を備えているか、また小型化した核弾頭の搭載技術を取得しているかは、現時点で未知数だ。だが、金正恩委員長がこの時点で「核戦力完成」を宣言したのは、「核保有国」として対米交渉に臨み、金正恩体制に対する“保障”を取り付けると同時に、朝鮮半島から在韓米軍を撤退させたいとの意図があると考えられる。しかし、それは東アジアの安全保障を、一層危機的状況に陥れることになる。

 北朝鮮のICBM発射を受けた29日、国連安保理は緊急会合を開催した。米国のヘイリー国連大使は、席上「全ての国が、北朝鮮との外交関係と貿易を断絶すること」を求め、トランプ米大統領は中国の習近平国家主席と電話会談し、北朝鮮に対する原油供給の中断を要求した。今回は9月の制裁の後だけに、新たに国連決議が採択されることはなかった。しかし、韓国では水面下で起きようとしている動きに緊張している。

 ティラーソン米国務長官は28日、「国際社会は、物を積んで北朝鮮に出入りする船を遮断しなければいけない」との声明を発していたが、ミサイル発射後の29日、米国務省のナウナー報道官は「新たなレベルの海上遮断」を予告した。

 ソウルの外交筋によれば、米国はすでに大量破壊兵器を載せたと疑われる船や航空機の移動を遮断する『大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)』を主導しているが、今回は「安保理決議を通じて、PSIで推進するのと同じ『公海上での任意的検査権限』の確保を狙っているようだ。