いずれも必須のもので、ひとつとして欠けていては、生命活動は成り立ちません。例えばコバルトはビタミンB12の中核ですが、ビタミンB12なくして赤血球(*3)は生産でませんし、そもそも赤血球のヘモグロビン(*4)には鉄が入っています。

 では、これら物質は「どこ」で「いつ」、生まれたのでしょうか?

 答えは「星(恒星)の中」で「星が死ぬとき」、です。

星の核融合反応で炭素や酸素、鉄までがつくられた

 宇宙は誕生して137億年といわれます。その初期の頃、宇宙に存在する物質は、水素 H(1)(と少量のヘリウムHe(2))がほとんどでした(いわゆる暗黒物質ダークマターを除く)。

 しばらくして、多くの恒星(太陽と同じ、自ら光を放つ星たち)が、それを燃料として核融合反応(*5)を起こし、燃え始めました。宇宙誕生から2億年、第一世代の星たちの誕生です。

 この世代の星々は大きく、われわれの太陽の100倍以上あったと考えられています。その巨大な星たちの中で急速に核融合反応が進み、より重い元素たちがつくられていきます。水素H(1)2つが融合してヘリウムHe(2)に、ヘリウムHe(2)3つが炭素C(6)に、炭素C(6)とヘリウムHe(2)が融合して酸素O(8)がつくられました。われわれ生命の構成元素のほとんどは、巨星の中心、約1億度の高温下で生まれたものなのです。

 しかし、それも鉄Fe(26)までが限度。鉄より先(コバルトCoなど)に、通常の核融合反応は進みません。それ以上の重元素は、この第一世代の巨星たちの、まさに死の間際の騒乱「超新星爆発 スーパーノヴァ」の中で生み出されたのです。

鉄より重い重金属を生んだのは100億度の超新星爆発

 老いた巨星の中心が100億度(*6)を超え、鉄原子すらが分解し始める時が星の最期です。

 その刹那、星中心(コア)は核融合反応による支えを失い自らの重力によって崩壊します。瞬間的な爆縮(爆発的な縮小)と、その激烈な反動の中で様々な反応が起き、あらゆる元素たちが生成されます。コバルトCo、銅Cu、亜鉛Zn、モリブデンMo……、そしてプラチナPt(78)や金Au(79)まで!

 そして、最後の大爆発。爆縮から大爆発まで、その間わずか1秒以下とか。

*3 何ごとにも例外は存在し、南極海に住むジャノメコオリウオには赤血球がなく、血液は透明である。東京・江戸川区の葛西臨海水族園で見られる。
*4 ヘモグロビンから酸素を受けとるミオグロビンにも鉄が含まれる
*5 原子核同士が融合して別の原子核を生成する反応。その際、数%質量が減少し、その分(E=mc2)がエネルギーとして放出される。
*6 太陽の中心核の温度は1500万度。