経営×経理

そのデータは真相に踏み込んでいるか?
現場・上司・経営陣でデータの流れを作れ

 経理部の上司が経営資料やそれに基づく改善策を経営会議で発表する際には、自ら経営者目線で経営資料を分析し、課題や問題点を掴んでいるはずです。ただ、この経営資料に書かれたデータは課題の真相に踏み込んだものになっているのでしょうか?

 というのも、経営資料は上司の元に届く前に経理スタッフがまとめています。たとえ、上司側がその資料を完璧に読み解き、分析したと思っていても、先回の会議で経営陣から質問された内容に関する分析が大半で、他の問題点が漏れていることもありえます。

 重要な気づきを漏らさないためには、伝票類・データに接している部下らの考察を傾聴することが必要です。経理スタッフは、経営資料が仕上がる以前に課題・問題点について、関連部署などに確認をとり、改善案まで検討しているかもしれません。つまりは、経理部の上司側も知り得ない情報が得られる可能性もあるのです。

 上司だけでなく、部下である経理スタッフにも“自分が経営資料を作っている”という自覚が必要です。上司にデータを報告する際は、「エビデンスとなる数値の推移」と「その背景(関連部署の活動)」の双方を提示し、例えば、「これまでのプラン1よりも、プラン2の方が利益率が高く、持続すれば○%の増益になる」など、できるだけ具体案を見せることが肝要です。こうした提案は、経理スタッフにしかできない仕事なのです。

 そして、上司側は部下の考察を検証し、見込み違いであれば指導したり、的を射ていれば経営会議にて起案したりと柔軟な対応が求められます。

 もしも部下がここまでできていないようならば、上司がマネジメントを行います。部下の仕事が捗らない原因として、決議事項などの重要な情報が共有されていない、付加価値の低い仕事に忙殺されているなどの事情があるかもしれません。あるいは、伝票類・データの整理や加工の仕方、収益との相関性や因果関係の分析術などの実務指導が必要なケースもあるでしょう。このように、個々の状況・能力に応じた支援・指導を施せば、一歩ずつでも前進すると思います。

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大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道

経理スタッフは「定型的な事務作業をこなす人材」と捉えられがち。彼ら彼女へ向けられる仕事の効率化と言えば、“仕訳の自動化”“仕事を属人化させない”といった、表面上の作業の改善を求めるものばかりだ。しかし、本来は経理=経営管理者なのだ。経理の能力を伸ばし、経営のために力を借りるにはどうしたらよいのか。様々な業種の経理畑を歩み、一担当者から管理職まで様々な立場を経験した著者が、経理環境改善のコンサルタントとして、実務者・管理者への支援活動に当たる中で感じたことをまとめる。

「大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道」

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