日本企業は他社の謝罪会見を
研究して真似をする

 どういうことか、ご説明しよう。実は、これまでもネット掲示板での告発を受けて、大企業が不正を白状するというようなケースはあった。そういう匿名の告発を、今回の「週刊文春」のような週刊誌やネットニュースが嗅ぎつける。そこで企業側が「ああ、もうこれは逃げ切れない」と謝罪会見をセッティングするというのが、わりと多いパターンだ。実際、筆者もそういう企業から相談を受けたことが何度かある。

 ただ、こういうケースの場合でも、「たまたまタイミングが重なっただけで、もともと公表するつもりでした」なんてスタンスを貫き通す企業が圧倒的に多い。

 東レのように「ネット掲示板に書き込まれなければ公表しなかったのか」とさらなる集中砲火を浴びるのを避けるための、自己保身からの詭弁であることは言うまでもないが、もうひとつ大きな原因としては、日本の企業文化の中に蔓延する「前例主義」のせいだ。

 不祥事が発覚した企業は必ずといっていいほど、自分たちと同様の不祥事や、競合などがどのような対応をしたのかを意識する。そこで似たような釈明、似たようなお詫びの言葉を自分たちのケースに置き換えてコピペする。

 つまり、どこかの誰かが始めた「ネット掲示板へのカキコミで公表しましたとは、口が裂けても言わない」という不文律が、問答無用で従うべき企業危機管理の「定石」となってしまっているのだ。

 いやいや、そこまで硬直したマニュアル主義であるわけがないと主張する人もいるが、ならば世の中に溢れる「謝罪会見」をどう説明するのか。

 業種、会社の規模、不祥事の中身にかかわらず、登壇者は似たような出で立ちをし、似たようなタイミングと角度で頭を下げ、似たような話法で謝罪と反省の言葉を口にしているではないか。