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情報戦の裏側

「ファブリーズvsくさや」悪ノリCM中止で見せたP&Gの謝罪力

窪田順生 [ノンフィクションライター]
【第5回】 2016年12月1日
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「ファブリーズvsくさや」CMが、くさや生産地からの猛抗議を受け、わずか2週間で打ち切りとなった。このほかにも、炎上→中止に追い込まれるCMやサービスが次々と出てきている。企業広報の定石は「非がないなら正当性を主張せよ」。だが、この定石にしがみつくと損をする時代になってきた。

2週間でCM打ち切り!
くさやに屈したファブリーズ

 「究極対決」は、最終的に「くさや」に軍配があがったようだ――。

 「くさや」生産者や産地からの抗議を受けていた「ファブリーズvsくさや」のテレビCMの中止が決定した、とプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が11月28日に発表したのだ。

一億総抗議時代となり、さまざまなCMやサービスが打ち切りを余儀なくされている。「行き過ぎた感情的な抗議」に対して、企業側は敢えて屈する姿勢を取った方が、後々のメリットにつながる。その理由とは?(写真はP&GのCMより)

 内容は典型的な「ビフォーアフターCM」である。

 透明なケースに入れたくさやのにおいをかいだ女性が「なにこれ、くさい!」と顔をしかめ、そこへ消臭力がパワーアップしたという置き型ファブリーズをケース内に投入。しばらくして再びケース内の匂いを嗅ぐと、先ほどと打って変わって「ぜんぜん、におわない!」と笑顔になる――という内容で、昨年からウェブ上で流されて好評だっため、今月14日からテレビでもオンエアされていた。

 「これのどこが問題なの?」と首を傾げる人もいるかもしれないが、ファブリーズの消臭力を強調しようという「演出」が、一部の方から「悪ノリ」と批判されてしまったのだ。

 実際、かつて人気を博したバラエティ番組「ほこ×たて」のノリで、「究極対決」を謳い、「くさや」の臭いに悶絶する女性たちの映像とともに、「あまりの臭さに阿鼻叫喚の地獄と化すラボ内」なんて煽り気味のナレーションも流された。

 これに、東京・八丈島の八丈町議会議員・岩崎由美氏が、「くだらない演出で侮辱するのは許せない」(日刊ゲンダイ11月26日)という怒りの声をあげたのだ。また、《先週になって伊豆諸島の視聴者らから「くさやのにおいのきつさだけを強調している」「(特産品を)愛をもって取り扱ってほしい」など十数件の苦情が寄せられた》(毎日新聞11月29日)という。

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窪田順生 [ノンフィクションライター]

くぼた・まさき/テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで200件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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できれば起きてほしくない「不祥事」だが、起きてしまった後でも正しい広報戦略さえ取れば、傷を最小限に済ませることができる。企業不祥事はもちろん、政治家の選挙戦略、芸能人の不倫ネタまで、あらゆる事象の背後にある「情報戦」を読み解く。

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