不祥事会見の「定石」を
あっさり破った東レ

「いやあ、あの社長の謝り方はかなりユニークだったね」というケースはほとんどない。つまり、日本の企業危機管理というのは、「前例」から逸脱することを極度に恐れ、さながら伝統芸能のように「様式美」を追求する世界なのだ。

 では、こういう「前例主義」に凝り固まった日本企業の中で、東レのような大企業が、清々しいくらい正直に「もともと公表するつもりはありませんでしたが、ネット掲示板に出てしまったので」なんてカミングアウトをしたら、どんなことが起こるだろうか。

 社長がいつもジーンズ姿みたいな新興ベンチャーではない。榊原定征・経団連会長を輩出した「ザ・日本企業」の影響力を踏まえると、なにかしらの不都合な事実をネットに書き込まれた企業は、それを即座に公表するのが当然という風潮が生まれないだろうか。

 実際、危機管理の専門家として名高い郷原信郎弁護士も、ご自身のブログにその可能性を示唆している。

「経団連会長出身企業がそのように理由を説明して問題の公表を行った以上、他の企業も、今後データ改ざん等の具体的事実が掲示板に書き込まれる都度、同様の対応をせざるを得ないことになる」(2017年11月29日)

 ご指摘の通りだと考える。さらにもっと言ってしまうと、この公表によって「内部告発」の動きも活性化されることが予想される。