ついに、電力業界にも“神鋼ショック”の波が押し寄せた──。関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県)と九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県)の再稼働が、延期されることになった。
かねて、10月8日に発覚した神戸製鋼所による検査データの改ざんを受け、原発を保有する電力各社は危機感を募らせていた。というのも、神戸製鋼は西日本の電力会社が採用する加圧水型軽水炉(PWR)の原子炉格納容器をはじめ、全国の原発の主要設備に多くの部材を納入しているからだ。
データが改ざんされた神戸製鋼の製品が原発で使用されていることが判明すれば、真っ先に稼働停止に直結しかねない。電力業界の対応は誠に素早かった。
しかし、その電力業界らしい“横並び”の対応が、かえって“お上”である原子力規制委員会の怒りを買ってしまった。
11月9日に行われた原子力規制庁の会合には東京、中部、関西、九州の4電力の原発担当幹部が出席し、神戸製鋼のデータ改ざん問題について規制委側に「原子力施設の安全性に対し、直ちに重大な影響を与える問題ではない」と回答する資料を提出した。
すると、規制委の山中伸介委員は「非常に不満足。(原発の)安全上重要な部分に、神戸製鋼の製品が使われているかどうかを聞いている」と“出直し”を指示した。