パートやアルバイトがなかなか集まらず、苦労している製造業。ここにもAI導入が進んでいる。最も劇的に変化する作業は「検品」。一体、AIは工場でどんな風に活躍するのだろうか?AIの分野で日本をはじめシンガポールやドイツでも活躍する若者、株式会社ABEJA・岡田陽介社長に聞く。(経済ジャーナリスト 夏目幸明)

工場にAIがやってくれば
バイトが不要に!?

夏目 前回、ディープラーニングで小売流通業が劇的に変わる、という話がありましたね。工場も変わっていくらしいじゃないですか?

AIは製造業の現場を大きく変える可能性がある。とくに劇的に変わるのが、従来は人の目に頼っていた「検品」だ

岡田 劇的に変わります。最もわかりやいのは「検品」です。工場では、ほぼ必ず、生産工程の最後に検品を行います。また、製造前に、他社から仕入れた材料を検品する場合もあるはずです。そして、この作業は最終的に人の目に頼っているものが多いはずです。

夏目 検品のバイトって大変なんですよね。製品がすごいスピードで流れてくるから慣れないと無理だし、眼は疲れるし、しかも遅いとバイトリーダーに叱られるし…。

岡田 こういった課題はディープラーニングによって解決できます。例えば正しい完成品の画像を撮影し、ディープラーニングで学習・解析させるんです。

夏目 第2回で説明してもらった通り、画像の1ピクセルを見て、少し範囲を広げて見て、また範囲を広げて…と、すべてのピクセルを見ていくわけですね。すると、同じ特徴がいくつも出てきて、AIが「これが正しい姿」と直感的にわかるようになる…。

岡田 その通りです。さらに、出荷すべきでない製品の画像も用意してディープラーニングを行います。すると、高い精度で「この製品の見た目には違和感がある」と教えてくれるようになりますよ。人間はディープラーニングによる解析で弾かれた製品だけをチェックすればいいから、手間は格段に少なくなります。また、AIは稼働させるほど精度が高まります。

夏目 バイトが不要になりますね。ほかには、AIでどのように工場が変わるんでしょう?

岡田 製造装置の画像だけでなく、様々な異音や振動などのデータを集めることで「そろそろ故障するよ」「そろそろ不良品率が高まるよ」と予知することもできます。また、前回「小売店が一変します」とご説明したのと同様の手法で、いままで人間のカンに頼っていた、各種部品の調達数管理、製造数の管理、倉庫の在庫管理などもAIに任せることができます。

夏目 ここでも人間が不要に…。オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授が、将来的に人間が行う仕事の約半分が機械に奪われる、と言っています。まさにそんな未来が到来するわけですね?

岡田 いえ、私はそうは思いません。日本ではパート、アルバイトの方の奪い合いが始まっていますよね。人口が減っていて、工場やお店で働く方の数が少なくなっているんです。AIはこれを解決する手段になるでしょう。しかも人を雇用するよりコストが安い。

 これから日本は人口が大きく減っていくのだから、AI導入は製造業を助けます。また、様々な分野でコスト削減が進んでいくでしょう。むしろ、日本の製造業にとってのチャンスではないでしょうか。