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日本を元気にする新・経営学教室

人事担当者はなぜ学歴を見るのか
就活における学歴(シグナル)の役割
京都大学大学院経営管理研究部教授 成生達彦

内田和成 [早稲田大学大学院商学研究科教授],成生達彦 [京都大学大学院経営管理研究部教授],平野光俊 [神戸大学大学院経営学研究科教授],根来龍之 [早稲田大学ビジネススクール教授、同ビジネススクール・ディレクター(統括責任者)、早稲田大学IT戦略研究所所長],松尾 睦 [北海道大学大学院教授],髙木晴夫
【第39回】 2011年12月12日
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 例年より2ヵ月遅れで、今年も大学卒業予定者の就職活動が始まった。就職率が低迷する中、学生は良い職を得ようと会社説明会に参加している(勉強がおろそかになるのは困ったものである)。一方、企業の人事担当者は、良い人材を確保するために、しばらくの間、多忙な毎日を送ることになる。

 応募者の能力が分かれば、人事担当者の仕事は容易である。しかしながら近年では、学生は就職セミナーに参加し、企業のOB(彼らのほとんどは人事畑を歩んでいる)が作った想定問答をこなした上で、就職活動に臨んでいる。このような準備万端な応募者を篩(ふるい)にかけるのであるから、人事担当者も大変である。

大学の勉強は役立たないと言うのに
なぜ大卒の賃金は高卒より高いか

 新卒者の採用に際しては、一昔前よりは重要度が下がったとはいえ、応募者の「学歴」が、今でも採否を決める一つの要因となっている。実際、エントリーシートに大学名の記入を求めない企業もあるが、そのような企業でも、面接の際に出身大学を尋ねることが多いようである。なぜ、学歴が採用基準となるのか?今回は、そのメカニズムについて考える。

 同窓会などで企業に就職した友人に会うと、彼らは異口同音に「大学で勉強したことは会社の中では役に立たない」と言う。とはいえ企業は、大卒者にたいして、高卒者よりも高い賃金を支払っている。このことはいかに説明されるのか? 

 企業の人が言うように、企業人にとって必要な能力は「勤勉さ」と「協調性」であるとしよう。一流大学に入学する人の多くは、子どもの頃から真面目に勉強しており、「勤勉さ」は入学前から備わっている。その意味で、大学生活を送ることによって「勤勉さ」が向上するわけではない。

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内田和成(うちだ かずなり) [早稲田大学大学院商学研究科教授]

東京大学工学部卒、慶應義塾大学経営学修士(MBA)。日本航空を経て、1985年ボストンコンサルティンググループ(BCG)入社。2000年6月から04年12月まで日本代表。09年12月までシニア・アドバイザーを務める。BCG時代はハイテク・情報通信業界、自動車業界幅広い業界で、全社戦略、マーケティング戦略など多岐にわたる分野のコンサルティングを行う。06年4月、早稲田大学院商学研究科教授(現職)。07年4月より早稲田大学ビジネススクール教授。『論点思考』(東洋経済新報社)、『異業種競争戦略』(日本経済新聞出版社)、『スパークする思考』(角川書店)、『仮説思考』(東洋経済新報社)など著書多数。ブログ:「内田和成のビジネスマインド

 

成生達彦(なりう たつひこ) [京都大学大学院経営管理研究部教授]

1952年生まれ。78年横浜国立大学大学院経済学研究科修士課程卒業、81年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修学、89年米国ノ-スカロライナ州立大学大学院卒業(Ph.D.)、81年南山大学経営学部に就職、94年に教授、同年京都大学博士(経済学)、98年京都大学大学院経済学研究科教授、2006年京都大学大学院経営管理研究部教授、2008年~09年京都大学大学院経営管理研究部研究部長。主著に『ミクロ経済学入門』など。

平野光俊(ひらの みつとし) [神戸大学大学院経営学研究科教授]

1980年早稲田大学商学部卒業、94年神戸大学大学院経営学研究科修士課程修了、98年同大学院博士課程修了、博士(経営学)、2002年から同大学院助教授、2006年から現職。経営行動科学学会会長、日本労務学会常任理事、日本労働研究雑誌編集委員。主著に『日本型人事管理』中央経済社。

根来 龍之(ねごろ たつゆき) [早稲田大学ビジネススクール教授、同ビジネススクール・ディレクター(統括責任者)、早稲田大学IT戦略研究所所長]

京都大学卒業、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了、鉄鋼会社、英ハル大学客員研究員、文教大学などを経て現職。京経営情報学会会長、国際CIO学会誌編集長、CRM協議会副理事などを歴任。2001年度より早稲田大学教授。2010年10月より早稲田大学ビジネススクール・ディレクター。ITと経営、ビジネスモデルなどを研究テーマとする。『代替品の戦略』(東洋経済新報社)、『デジタル時代の経営戦略』(共編著、メディアセレクト)、『CIOのための情報・経営戦略』(共編著、中央経済社)など著書多数。ブログ「ITと経営」

松尾 睦 [北海道大学大学院教授]

まつお・まこと 1988年小樽商科大学商学部卒業。2004年ランカスター大学経営大学院博士課程修了。Ph.D. (in Management Learning)。神戸大学大学院経営学研究科・教授を経て現職。


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好評だった経営学教室の新シリーズ。新たな筆者お二人を迎えて、スタートする。国内市場は成熟化する一方、グローバル化は急速に進展し、新興国の勃興も著しい。もはや、自ら新たな目標を設定し、ビジネスモデルを構築しなくてはいけない時代に突入している。日本企業に漂う閉塞感を突破するには、何がキーとなるのか。著名ビジネススクールの気鋭の教授陣が、リレー形式で問題の所在を指摘し、変革のヒントを提起する。

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