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広告宣伝は行わず密かに開業した
「大人のTSUTAYA」という新業態

週刊ダイヤモンド編集部
2011年12月16日
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 レンタルソフト店「TSUTAYA」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は12月5日、東京・代官山に商業施設「代官山T-SITE」をオープンした。約1万2000平方メートルの敷地に、「代官山蔦屋(つたや)書店」を中心として飲食店や専門店が立ち並ぶ。

 増田宗昭社長の資産管理会社が投資したもので、金額は明らかにしていないが、CCCにとっては「10年に1度の大規模な事業」(関係者)という。

 にもかかわらず、オープニングイベントを行わないどころか、対外的な公表もほとんど行っていない。

 後述するが、コンセプトは「大人のTSUTAYA」。それゆえ、若者を惹きつける賑わいを排し、メディアなどで人気スポットとして取り上げられないよう、細心の注意を払っている。

 なかでも「代官山蔦屋書店」は、色々な意味で常識を覆す店舗だ。

 まず、立地は東急東横線代官山駅から徒歩5分を要し、それほど足の便がいい場所とはいえない。

Photo by Toshiaki Usami

 また、外観はおよそ書店とは思えない洒落た作りで、目立つ看板はない(写真)。

 そして大型書店にもかかわらず、コミックや参考書などの学生向けの書籍はほとんど置いていない。一方で、雑誌は国内外あわせて2300種類に上り、また、旅行、料理、クルマといった趣味の分野や、アート、建築、哲学、歴史、宗教、文学などの書籍を充実させている。

 音楽フロアには、従来の店舗では少なかったジャズ、クラシックが多数あり、映画フロアでは、DVD化していない映画をDVDにプレスして販売するサービスも行うなど、細かなニーズにも対応する。

 最大の特徴は各分野に「コンシェルジュ」を置いたことだろう。例えば、旅行分野であれば、世界100ヵ国以上を訪ね歩いたライター、料理分野であれば専門誌の元編集長といった、いずれもその道のプロたちだ。

 CCCが考えているのは、いわば「百貨店に近い書店」である。きめ細やかな接客や奥深い知識で、客の満足度を高めようという狙いである。

 店内には大きなラウンジがあり、64年4月の創業から88年10月の休刊までの「平凡パンチ」など、非売品である約3万冊の蔵書やアートに囲まれながら軽食や喫茶やアルコールが楽しめる。さらに店内の書籍を読むことも可能だ。

 このような新業態に乗り出した背景には、少子高齢化への危機感がある。

 CCCの顧客は20~30代が中心であり、今の事業を継続していればジリ貧は必至だ。団塊世代を中心としたシニア層をいかに取り込んでいくか、その回答の一つが、今回の「大人のTSUTAYA」である。ここで新しい店舗の雛型を作り、いずれ各地に展開していくと見られる。

 この挑戦が、果たして思惑通りいくか否か。その行方は多くの関心を集めることになりそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 松本裕樹)

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