このほど決まった与党の2018年度税制改正大綱で、「事業承継税制」が改正されることになった。活用を促し、中小企業の廃業を防ぐなどといった触れ込みだが、詳細に見ていくと効果はなく、"的外れ"な改正であることが分かる。公認会計士で税理士であり、事業承継支援を専門とする岸田康雄氏に解説してもらった。

来年度税制改正で3度目となる
事業承継税制の改正

 暮れも押し迫った12月14日、自民党と公明党は、与党の2018年度税制改正大綱を決定した。

 今回の税制改正では、所得税改革として年収850万円超の会社員を増税する一方、全納税者に適用する基礎控除を増やす他、企業の賃上げと設備投資を促進するための法人税減税なども盛り込まれた。

 そしてもう一つの大きな柱が「事業承継税制」の改正だ。中小企業経営者の高齢化が急速に進展する中で、円滑な世代交代を通じた生産性向上は、待ったなしの課題となっている。そこで今回、10 年間の特例措置として、各種要件の緩和を含む税制改正が行われることになったのだ。

 改正点はいくつかあるが、中でも大きいのは、受け継いだ非上場株式にかかる相続税の負担について。これまでも相続税の納税を猶予する制度があったのだが、その税負担を軽くしようとしているのだ。そこでまず、これまでの納税猶予制度について説明しよう。