今年、回転寿司業界で話題をさらったのは「あきんどスシロー」と「元気寿司」の経営統合だ。両社の業績はいたって好調なだけに、その理由を図りかねた向きも多かった。しかし、その裏には、回転寿司業界が抱える構造的な"危機"があった。(回転寿司評論家 米川伸生)
増収のスシローと元気寿司が統合
背景に既存店売上高の減少と客離れ
今年、回転寿司業界で最も大きな出来事といえば、業界1位の「あきんどスシロー」と5位の「元気寿司」の経営統合ではないだろうか。
9月期決算で過去最高の売上高と営業益を叩き出したスシローと、"回らない回転寿司"である「魚べい」投入後、6期連続増収の元気寿司。そんな好調な2社の経営統合は、盤石の布石に向けた取り組みと見ることもできるが、実はその裏で業界全体にひたひたと迫って来ている"危機" があるのだ。
まずその一つが、既存店の売上減少と客離れである。
ここ1年、スシローの既存店売上高が昨年を越えたのは、わずか4ヵ月のみ。全店売上高は106.1%と好調ながらも、既存店売上高、既存店客数ともに98.7%と沈んでいる。