佳食漫遊!ニッポンの郷土料理
【第13回】 2011年12月21日 橋本裕之

糠(こんか)いわし――脳天まで突き抜ける塩味とコク。これ一匹で一升飲める究極の肴

 今宵もまた、とても寒い。まだ12月だというのに本当に体が冷える。ここ数年、夏の猛暑が続いているので、かえって冬が寒く感じるのかもしれない。

 こんな日はやっぱり日本酒の燗と、それに合うつまみを少々というのが、どうしても恋しくなる。

 今回、訪れた店は石川県の料理を出す店だ。石川県は県南部の金沢市や小松市などを含む加賀地方と、能登半島の全域に及ぶ能登地方と大きく二分されるが、この店は、その能登地方の料理を中心に扱っており、その名も『能登の夜市』という。

 オーナーの川畠さんは能登半島・奥能登の能登町の宇出津(うしつ)の出身で、実はまだ、今年の3月に店をオープンしたばかりであるが、見る限り、大盛況なようだ。今日も自分が訪れてから、瞬く間に狭い店内はいっぱいになっていった。

「まずは日本酒。しかも本醸造から。お燗……、いや冷やで」

 今日は、日本酒を飲もうと固い決心の上にやってきたので、最初からわき目もふらずに日本酒である。やってきたのは、奥能登の酒『宗玄』(珠洲市・宗玄酒造)の本醸造だ。

 熱燗にしようかと思っていたが、最初の一杯目は冷やで飲むことにした。目の前の酒受け皿の上に置かれたグラスに一升瓶からなみなみと注がれた。

日本海ならではの身の締まってコリコリとした白身魚をメインとした、刺身の盛り合わせが旨い。

甘い米麹の味わいと発酵した感じが
グイグイ酒をすすませる「かぶら寿司」

 ツマミを選ぼうとしたら、お店の女性が本日のオススメを持ってきた。オススメは刺身の盛合せということだ、こちらと一緒に目についたのが、「かぶら寿司」である。まずスタートはこの両方を注文してみる。

 刺身の盛り合わせは、店側がオススメするだけあって豪快だ。白身魚がメインで、内容はフクラギ(北陸地方での若いブリの呼び名)、的鯛、鯵、ホウボウ、スズキ、サゴシ(若いサワラの呼び名)、白ソイ、ナメラ(アコウ、キジハタ)と、日本海の魚が満載であった。そして、日本海側ならではの身の締まった体の魚が旨い。

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る

橋本裕之

飲食店から蔵元訪問など、豊富な食べ飲み歩きの経験から、出版やWEBなどで、食と酒をテーマにした編集やライティングに関わる。過去の執筆に『dancyu』(プレジデント社)、『本格焼酎ぐびなび』(誠Style)など。SSI認定焼酎アドバイザー。ティーコンシェルジュ2級。


佳食漫遊!ニッポンの郷土料理

土地々々の風土に磨かれ、伝え継がれてきた日本の郷土料理を、料理の歴史や地域の慣習などを交えて紹介。その素晴らしさ、味わい深さを再確認していただければ幸いです。

「佳食漫遊!ニッポンの郷土料理」

⇒バックナンバー一覧