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「働き方改革」に歩調を合わせる形で、厚生労働省が企業への導入を進めているキャリアコンサルティング。本連載では、キャリアコンサルティングの具体的な進め方を、実際の相談事例を通して説明していく。今回は担当業務にミスマッチ感を抱いている若手社員の事例だ。(構成/ダイヤモンド社人材開発編集部 間杉俊彦)

「今の仕事に意味が見いだせない」と悩む若手社員

 前回、キャリアコンサルティングの機能を以下の6つに分けて解説しました。

1.アンテナ機能
2.相談機能
3.問題解決機能
4.連携機能
5.人材育成機能
6.提案機能

 これからご紹介するのは、「1.アンテナ機能」「2.相談機能」の2つが発揮された事例です。当事者の話を聞き、問題のありようを理解しつつ、彼が所属する職場に対しても、ある“働きかけ”を行っています。さらに、これらのやりとりを通して、「5.人材育成機能」も果たしている、と考えてもいいでしょう。

コンサルティング事例【1】
「社会貢献できない仕事に意味が見いだせない」
対象者:Aさん(20代前半、男性、総合職)

(某月某日、Aさんがキャリアコンサルティング・ルームにやってきました。20代前半のAさんには仕事上の悩みがあるらしく、周囲から相談することを勧められました。以下は、その相談内容と経過をまとめたものです。)

◆面談のきっかけ
 Aさんは優秀で明るく、社内では将来を考えた次の異動先も検討されている。しかし最近、自分のキャリアに希望が持てなくなり、退職を考えはじめているらしい。Aさんの上司と、事業部の人事担当者から「相談に乗ってあげてほしい」と紹介されて来室することになった。

◆主訴(本人がその時、いちばん訴えていたこと)
「社会貢献ができる部署に異動したい。それが実現しないなら、今の仕事には意味が見いだせないので退職したい」

◆キャリアコンサルタントの見立て
 Aさんの就職活動時の決断に至る過程、性格、行動特性、職場でのコミュニケーションにも問題がありそう。また、上司の日ごろの業務指示や、指導に関するリーダーシップもAさんが退職まで考えることにつながっていて、このままでは精神的にも参ってしまいそうだ。

◆コンサルティング方針
 まずは本人の話をじっくり聴く。さまざまな角度から、これまでの行動、考え方を振り返るなかで、自分を理解し、現状を分析し、どうなりたいのか、そのために何をしていけばいいのか、などを質問していく。

 その際に、メンタル面について、日ごろの生活や周囲からのコメントなどを確認しながら、将来のキャリアの可能性に触れていく。

 ただし、Aさんを当室に紹介した関係者には、「キャリア相談の部屋は、退職を支援する場所ではなく、自分を見つめて前向きになるための場所」であることを事前に本人に伝えてもらう。