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出版社がネットの料理情報で荒稼ぎ!
「エピキュリアス」の秘密

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第12回】 2008年9月10日
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 冷蔵庫にある野菜や肉などの残り物の名前を、グーグルの検索ボックスに入力されたことはあるだろうか。

 クリック一つ、一瞬にしてそんな材料を使ったレシピがいくつも出てくる。インターネットを使えば、分厚い料理本のページを繰らなくていいし、ちゃんと残り物の有効利用もできるというわけだ。何よりも「さあ、何を作ろうか」と頭を悩ませなくていいのは、ありがたい。
  
 レシピのそんなパワーを利用し収入を上げているのが、アメリカの出版社コンデナストが運営する料理サイト、エピキュリアスだ。

 設立は1995年。同社の有名な料理雑誌『Bon Appetit』と『Gourmet』のアーカイブから500のレシピを掲載してスタートした。現在のレピシ数は3万5000件以上。すべて料理のプロによるもの。材料別、季節の催事別(感謝祭やクリスマスなど)、旬の料理別、ベジタリアン用など、いろいろな方法で縦横にレシピを検索できるのが魅力だ。

 各レシピには、実際に作ってみたユーザーのレイティングやコメントも付いていて参考になる。それ以外にも、専門家による料理指南や素材解説、グルメ旅行紀行、料理事典など、料理関連の情報を一手に引き受けている。

 そもそもコンデナストは、ファッション誌の『ヴォーグ』や評論と文芸誌の『ニューヨーカー』など、ハイエンドなメディア出版で知られている。アメリカではインターネットを活発に利用するユーザーの約3分の1にあたる5000万人が料理サイトを利用すると言われるが、コンデナスト流のお墨付きおしゃれグルメ情報でそうしたユーザーをすっかり取り込もうというわけだ。

 コンデナストは未公開企業であるため正確な数字は公表されていないが、アナリストなどの分析を総合すると、エピキュリアスは1年ほど前の時点で6000万近いページビューと400万人以上のユニークビジター数を有している。また同社の発表によると、エピキュリアスは過去数年間、前年度比で30%以上の広告費収入の伸びを見せ、2006年と2007年の間は収入が55%増加したという。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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