余生を妻と過ごすのか、彼女と過ごすのか、定年を3年後に控えた男性は彼女から決断を迫られていた(写真はイメージです)

夫の定年前後に熟年離婚となる場合、避けて通れないのが夫の年金と退職金を妻にどう分与するかです。定年前か定年後かによって分配の方法が変わり、妻が専業主婦か、働いていたかによっても分与する額が変わってきます。最新刊「男の離婚ケイカク」(主婦と生活社)より離婚と年金、退職金の関係を解説。妻が早く離婚に応じてくれるかもしれない「切り札」も紹介する。(露木行政書士事務所代表 露木幸彦、文中は仮名)

定年まで3年
彼女に離婚か別れるかを迫られた

 昨年末、船越英一郎さんと松居一代さんの離婚がようやく成立しました。松居さんが勝利宣言の記者会見を開き、負け惜しみにも似た迫真の演技を披露したのはもちろん、「慰謝料なし、財産分与なし」という離婚条件の中身にも驚かされました。船越さんのように50代半ばの男性からの「離婚」相談は、3.11の東日本震災をきっかけに急増しました。

 震災を経験した直後、夫は家族のありがたみを実感し、妻との結束を強めて、夫婦関係は改善に向かったものの、早々に化けの皮がはがれてしまい、また妻との間で喧嘩が始まり、夫婦間の会話はなくなり、互いに「いてもいなくても変わらない存在」に成り下がります。

 一方で夫にはすでに「彼女(不倫相手)」という既成事実が存在することは決して珍しくありません。彼女は宙ぶらりんの状態で、彼(夫)との間に戸籍等の確たる結びつきはありません。だから「次に天災が来たらどうしよう」と心配になって彼に対して「奥さんとの離婚」を迫るのです。妻と彼女の板挟みに遭うのは高井良介さん(57歳)。