大阪再生を図るため市長への転身を果たした橋下徹氏。初登庁日から改革の道を全力疾走している。まずは、制度疲労著しい統治機構の刷新と水ぶくれした市の徹底スリム化だ。地方分権と真の民主主義の確立を目指す大阪維新の改革。その要となる都構想実現に向け、大きな一歩を踏み出した橋下市政の初動を追う。

就任会見でさまざまな質問に自分の言葉で答える橋下市長
Photo:JIJI

「知事として初登庁したときは暗中模索でしたが、今回は違います。知事のときの経験があります」

 意欲と自信に満ち溢れた表情で語るのは、大阪市の橋下徹市長。12月19日に初登庁し、市長執務室の椅子に座って報道陣の質問に答えた。ただし、椅子に腰かけたのも数分のこと。新市長は就任初日から精力的に庁内を動き回り、その日のうちに上京した。

 大阪都構想の実現を目指す橋下市政が始動し、早くも新機軸を打ち出している。就任初日に人事異動を発令し、24行政区の区長公募の受付も開始した。スピードと透明性をなによりも重視する橋下流を全開させている。

 じつは、橋下流は初登庁前から発揮されていた。市の30ある部局からレクチャーを受け、マニフェスト実現への課題などを探った。橋下氏は職員の説明を聞きながら自らの問題意識をぶつけ、職員側に後日、反論や見解を示すよう指示していた。いわば宿題だ。職員が自ら考える状況をつくり、案を出させて、修正決断していくのが、知事時代からの手法だ。

 事前レクチャーに同席した「大阪維新の会」市議団の幹部は「橋下さんは行政組織を熟知し、動かす方法もよくわかっている。もちろん、何をやるか目標設定も明確だ」と語る。そして、独裁批判は的はずれだと指摘する。

 都構想を掲げて自ら地域政党を結成し、さらには知事から市長に転身した橋下氏の行動は、破天荒そのものといえる。常識はずれの危うい行動と見られるのも無理からぬところだ。しかし、目的を達成するために考え抜かれた理詰めの行動ともいえる。

 橋下市長は就任初日に2時間近く記者会見したが、持論を率直に語り、中身の濃いものとなった。その席で橋下市長は「決定できる民主主義、責任を取る民主主義を目指し、まずは大阪の統治機構を変える」と、何度も語った。そして「中央集権から地方分権、(国と地方の)融合型から分離型に変える」と強調した。