性別、年代を問わず、同じフィールドでゲームを楽しめるeスポーツは集客力が高く、地域の活性化に役立つ。そこで埼玉県は、行政がeスポーツ浸透の道筋を付け、県民や民間による取り組みが広がることを期待している。

eスポーツの認知向上と裾野拡大の役割を行政が担う~埼玉県編~資金面はもとより、eスポーツに関する知見や広いネットワークを活用したサードウェーブのさまざまなサポートが、イベントを成功へ導いた要因の一つと語る川脇達也主幹

 2024年3月、「SAITAMA e-sportsリンクフェス2024 Spring」が開催された。埼玉県越谷市の「イオンレイクタウン」と熊谷市の「熊谷駅ビルAZ」の2会場をオンラインでつなぎ、オンラインゲーム「フォートナイト」の大会やeスポーツ体験会などを開催した。越谷会場にはeスポーツに理解が深い大野元裕・埼玉県知事も姿を見せ、リアル、オンライン参加を含め約3万人がeスポーツで盛り上がった。

eスポーツの認知向上と裾野拡大の役割を行政が担う~埼玉県編~「SAITAMA e-sportsリンクフェス2024 Spring」の「イオンレイクタウン」会場は、多くの参加者の熱気に包まれた

 eスポーツはもはやゲーム好きの若者の遊びではない。先のフェスでは、「開場前から親子連れなど多くの参加者の列ができ、開場時間を繰り上げたほどでした」と県民生活部スポーツ振興課スポーツ連携・企画担当の川脇達也主幹はeスポーツ人気に驚きを隠せない。

 県がeスポーツに力を入れる理由として川脇主幹は、「人を呼び込む力」を挙げ、「eスポーツは性別や年齢などに関係なく、誰もが同じフィールドで戦うことができます。この特徴を生かし、eスポーツを上手に活用することで地域活性化などの行政課題や社会課題の解決につなげられるのではないでしょうか」と期待を寄せる。

 フェスに続いて開催された「埼玉eスポーツキャンプ2024 Spring」は、高校生を対象にしたトレーニングキャンプ。eスポーツ専用施設「FAV ZONE」などで2泊3日のキャンプを行い、対戦型ゲーム「VALORANT(ヴァロラント)」の集中トレーニングを通じて競技力の向上や、参加者の所属する学校でのeスポーツ活動の活性化を目指した。プロeスポーツシーンで活躍するコーチ陣から直接指導を受けられること、さらに、そのメソッドを自分のチームに還元できるプログラムは参加した高校生に好反応だった。

eスポーツの認知向上と裾野拡大の役割を行政が担う~埼玉県編~「埼玉eスポーツキャンプ2024 Spring」には全国から高校生が集まり、リアルな交流と真剣な議論の場となった

「県内の高校生を中心に、北海道から沖縄まで全国から参加がありました。高校生たちが目を輝かせて議論をしている姿は新鮮でしたね」(川脇主幹)

 フェスとキャンプの開催に、企業版ふるさと納税を通じて貢献したのがサードウェーブだ。資金面の支援だけでなく、eスポーツに関する深い知見や広いネットワークを活用したサポートもイベントの成功の要因だと川脇主幹は振り返る。

「eスポーツは著作権を持つ、いわゆるIP(知的財産)ホルダーの方々への許諾など複雑な関係で成り立っているので、私たちだけでは運営が難しく、サードウェーブさまからアドバイスやサポートを頂けたことは非常にありがたかった」

 プレーヤーになることだけではなく、eスポーツを裏方として支える多くの人々を知って、将来の職業選択にも役立ててほしいと川脇主幹は話す。そして、eスポーツの認知度が高まったら、その先は民間に任せたいとも。「認知度を高める今のフェーズでは、県が率先して旗振り役として活動します。その結果、企業や県民の皆さまがeスポーツの可能性を知って、民間で取り組もうという機運が盛り上がれば、私たちの活動は成功だと思います」。

 サードウェーブの支援は、企業版ふるさと納税を通じた寄付・物品提供に加え、eスポーツ振興・大会開催にまで及ぶ。同社が目指すeスポーツを通じた地方創生は着実に進んでいる。

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株式会社サードウェーブ
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