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上久保誠人のクリティカル・アナリティクス

「新しい日本」を創り上げる牽引車として、
日本企業の自己変革能力に期待する

上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]
【第26回】 2012年1月4日
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 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。

 今回は、新年第1回として、「新しい日本」を創るためにどうすべきかを考えたい。昨年はさまざまな場面で政治のリーダーシップ欠如が問題となった。東日本大震災・原発事故対応での「政治主導」の混乱、「マニフェスト」で公約したほとんどの政策の撤回、「TPP(環太平洋経済連携協定)参加問題」や、「社会保障と税の一体改革」を巡る民主党内の分裂などが厳しく批判された。これらは、この連載でも何度も取り上げ、首相など政治家の資質よりも、日本政治の意思決定システムの問題であると指摘してきた(第15回第22回など参照のこと)。

 政治家の資質の問題であれば、また首相を交代させればいい。だが、システムの問題となると、それを変えるのは容易ではない。政治・行政に日本の大改革の断行を期待するのは難しい。しかし、政治・行政がダメでも、日本が衰退するとは限らない。日本企業が「新しい日本」を創り上げる牽引車となり得るからだ。

 企業はグローバルな大競争に生き残るために、政治家や官僚のように過去の成功体験や既得権に拘ってはいられない。利益を出すために、絶えず自己変革を続けようとする企業の動きは、誰にも止められない。企業は、停滞を打破し「新しい日本」を実現する先陣を切り、次第に日本社会全体を変革させていく可能性があると考える。

日本企業の海外展開を振り返る
(1)海外への生産拠点の移転

 昨年、日本企業は過去にない円高に対応するため、海外生産を拡大する動きを加速させた。その動きは、さまざまな業種に広がっている。

 電機業界は、テレビ、パソコン、デジカメなどの海外生産委託や部品の現地調達を増やしている。例えばパナソニックは、デジカメで新興国市場を開拓している。ブラジルでは、高級小型機種の現地生産を始めて富裕層の需要を掘り起こし、一方インドでは安価な同国専用モデルを生産している。2011年度の世界生産は、前年比3割増の1300万台に達する見通しだ。

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上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]

1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。博士論文タイトルはBureaucratic Behaviour and Policy Change: Reforming the Role of Japan’s Ministry of Finance。

 


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国際関係、国内政治で起きているさまざまな出来事を、通説に捉われず批判的思考を持ち、人間の合理的行動や、その背景の歴史、文化、構造、慣習などさまざまな枠組を使い分析する。

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