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「引きこもり」するオトナたち

約半数が40歳以上という
10人に1人が引きこもりの「過疎の町」

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第92回】

 日本全国の過疎が進んでいるような地域に、引きこもる人たちが数多く存在していることは、これまでも取材や講演などで各地を訪れるたびに聞いていた。しかし、そんな実態の一角が、現状に即してデータとして示されるということは、孤立や無縁化の進むこの国の今後を議論していくうえでも、重要な第1歩になると言っていい。

 秋田県の山あいにある、人口約3900人の小さな町で行われた実態調査がいま、ひそかに注目されている。

18~55歳の町民1293人中
8.74%が「引きこもり」

 秋田駅から奥羽本線の特急列車に乗って、二ツ井駅まで約1時間。駅から深い雪景色を楽しみながら車で20分ほど山あいに入ると、同県藤里町の町並みが見えてくる。

 そんな町の社会福祉協議会が実施した調査によって、18歳から55歳までの町民のうち、少なくとも113人が長年、仕事に就けない状態で引きこもっていることがわかったのだ。

 2011年11月1日現在の対象年齢に当たる町民は1293人。引きこもる人たちが占める割合は、8.74%に上る。実に、ほぼ10人に1人が引きこもっていることになる。

 この比率は、厚労省が2010年に公表した「20~49歳までの対象者1660人に占める引きこもり経験者は1.2%」に比べてみると、はるかに高い。

 興味深いのは、内閣府が同年7月に公表した実態調査の報告書でも、東北地方の引きこもり群が3.3%、引きこもり親和群(予備軍)が6.0%。合わせれば9%となって、同町の調査ともほぼ合致していることだ。

 しかも、そのうち40歳以上は、52人。引きこもりの人たちの半数近くは、内閣府の定義した「39歳以下」に当てはまらない、支援の対象からこぼれ落ちた人たちであり、一層の高年齢化が進んでいることを浮き彫りにしている。

 たまたま筆者が近畿地方の山あいの村を別件取材で訪れたときも、ある年配女性の村民は「私が知っているだけでも、7人の引きこもりがいるよ」と教えてくれた。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

「「引きこもり」するオトナたち」

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